古い小屋をリフォームしたい!アイデアや税金、法律上の注意点を解説
古い小屋をリフォームして、スペースを有効活用したいと考えている人は少なくありません。しかし、小屋のリフォームを実施している人が周囲におらず、参考にできる事例がないと、何から始めればよいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、古い小屋をリフォームする際に知っておきたいポイントを解説します。リフォームのアイデアはもちろん、建築基準法上で気をつけるべき注意点など、法律関連の注意点についても解説しているため、古い小屋を改装したいと考えている人は、参考にしてください。
古い小屋のリフォームで何ができる?
そもそも小屋はどのようなことに使えるのでしょうか。小屋の活用アイデアをまとめました。
物置として
最もオーソドックスな使い方は、物置として活用することです。収納棚や物干し台などを設置して、庭仕事に使う道具や家庭用品などを収納することができます。
小屋のデザインにこだわり、庭の雰囲気を格上げできることも魅力です。
バイクや自転車置き場として
物置に並ぶオーソドックスな使い方が、バイクや自転車置き場として活用すること。小屋に屋根と壁を付ければ、大事なバイクや自転車をサビや強風から守れます。
また、小屋の色や素材を家の外観とも合わせられるため、住宅全体に統一感が生まれます。
自宅ショップとして
自宅ショップのスペースとして活用することもできます。趣味や副業にぴったりで、考えるだけでもワクワクしてしまう活用方法ですよね。小規模なショップであれば、リビングなどをショップのために使わずとも、小屋で十分なスペースが確保できます。また、小屋の外観や内装を自分好みにアレンジできるのも小屋ならではの魅力といえます。
ただし、小屋が商業施設として扱われる際は、建築基準法や消防法などの関連法令に適合する必要があります。床面積や出入口の数、防火対策などに制限が生まれることには注意しましょう。
サンルームとして
サンルームとして活用することも考えられます。サンルームとは、ガラスやプラスチックなどで囲まれた部屋のことで、太陽の光や熱を取り入れられるのが魅力です。植物を育てたり、読書や趣味を楽しんだり、リラックスしたりする場所として人気です。ヨガなどのエクササイズで使用する人も多いほか、洗濯物を干す場所として活用する例もあります。
リラックスできる空間、休憩所として
机やソファなどのくつろげる場所を設置すれば、小屋は自分だけのプライベートルームになります。読書や趣味、勉強や仕事などに集中できる環境を作れるほか、お昼寝や庭仕事中の休憩所、ピクニックの場所としても利用できます。小屋から見える庭の景色や季節の移り変わりを楽しむ贅沢な時間も過ごせることでしょう。
断熱材や暖房器具などで冬場の寒さ対策をしたり、電気や水道などのライフラインを整備したりすれば、くつろげる度合いはもっと高まりそうです。
アトリエとして
作業台を導入して、絵画や陶芸、木工などの創作活動に取り組むことも検討してみましょう。小屋は自分の好きなようにデザインやレイアウトを変えることができるので、自分の感性やスタイルに合わせた空間を作ることができます。また、小屋から見える自然の景色や光が、創作のインスピレーションになるかもしれません。
作業をしていると、絵の具や粘土などで有害な成分が発生することもあるもの。通気性のいい小屋は、作業にもピッタリです。
近所の人や孫、家族と交流する場所として
近所の人や孫、家族と交流する場所としても活用できます。家に招くよりも気軽に人と交流できるのは大きな魅力です。また、家よりも小屋のほうが、遊び心のある仕掛けを取り入れやすいのもメリットです。たとえば、小屋の壁に絵を描いたり、小物や飾りを飾ったり、照明や音楽を変えたりすることを検討してみましょう。
古い小屋とは?
ここまで、さまざまな小屋のアイデアを見てきました。しかしそもそも、小屋とは何なのでしょうか。
「小屋」と聞いたときに、簡易的な建物や物置のようなものをイメージする人は多いかもしれません。しかし、建築基準法には「小屋」という用語はありません。建築基準法では、屋根と柱と壁があれば、どんなに小さい建物でも「建築物」として扱われます。
一方、固定資産税などの対象になる固定資産かどうかは、基礎工事を実施しているかどうかによって見分けられます。「建築物だけれども、税金の対象にはならない」という状況も起こりえるため、混乱しないように気をつけましょう。
【建築基準法】古い小屋のリフォームをする注意点
建築物として扱われるということは、建築基準法の規制に従わなければならないということです。小屋を新しく建築したり、増築をしたりする際には、建築基準法上のどのようなことに注意をすればよいのでしょうか。詳しく解説します。
増築と新築には注意
基本的に、小屋をリフォームする際に確認申請が必要になることはほとんどありません。ただし、新築・増築する場合は、建築確認申請を出す必要があるケースが多いことに注意をしましょう。
建築確認申請とは、建物が建築基準法や関連法令に適合しているかどうかを確認する手続きです。建築確認申請を出さないで建てた場合は、罰則や強制撤去の対象になる可能性があります。
なお、建築基準法における「新築」とは、何もない更地に新たに建築物を建てることをいいます。主屋があって新しく小屋を作る場合や、二つ目の小屋を作る場合については「増築」扱いになるため注意しましょう。
DIYで小屋を新築・増築する場合でも、条件に当てはまる場合は建築確認申請が必要です。
【増築】建築申請確認をしなくてよいケース
建築基準法では、準防火・防火地域ではない土地で10平米(6畳程度)以下の増築をする場合は、建築確認が不要です。準防火・防火地域とは、火災の危険性が高い地域のことをいい、建物の構造や材料に厳しい制限がかけられています。
なお、準防火・防火地域ではない土地で増築する場合については、10平米を超えるときのみ確認申請が必要です。
【新築・増築】建築申請確認をしなくてよいケース
以下のケースでは、建築申請確認が不要です。
・小屋を建てる土地が都市計画区域外の場合
・小屋を建てる土地の用途地域が無指定である場合
都市計画区域とは、都市計画法に基づいて都市計画が行われる地域で、建物の高さや容積などに制限があります。都市計画区域外の場合は、確認申請をしなくてもよい場合があります。ただし、準防火・防火地域や景観地区などの特別な区域である場合は、確認申請が必要になることもあります。
用途地域とは、土地利用法に基づいて土地の利用目的や性格に応じて分類された地域で、建物の用途や規模に制限があります。用途地域が無指定であれば、床面積にかかわらず確認申請をせずに新築できます。
自治体独自の条例があるケースも
建築基準法には違反していなくても、自治体が独自に定めた条例に違反するケースがあることにも注意が必要です。たとえば観光産業がさかんな地域では、景観や環境を保護するために、建物の色や形、高さなどに制限を設けていることがあります。
また、建築物の設置場所や距離などに規定を設けていることも。
自治体独自の条例に違反すると、罰則や強制撤去の対象になる可能性があります。
古い小屋をリフォームする前には、自治体に確認を取ることを忘れないようにしましょう。自治体によっては、リフォームに関するガイドラインや相談窓口などを設けていることもあります。
設備を豪華にしすぎない
建築基準法施行令では、1つの区画には1つの建物しか建築できないと定められています。小屋にトイレや風呂、キッチンなど水回りが完備されている場合、1つの建物として見なされることがあります。この場合は違法建築に該当してしまうケースもあるため、十分に注意しましょう。また、水回りが完備されている小屋は、固定資産税や住民税などの税金がかかる可能性も高くなることにも注意が必要です。
なお、この法令は「生活に必要な用途不可分の建物」であれば、例外として建築できるのがポイント。生活に必要な用途不可分の建物とは、主屋と一体的に利用される建物で、たとえば車庫や物置、温室、お風呂などが該当します。
小屋が物置などにしか利用されない場合は、建物とは見なされません。
設備を充実させたい場合は分筆手続きを
古い小屋の水回りなどを完備させ、もう1つの家として利用したい場合は、主屋と小屋とで敷地を分割する分筆の手続きを取りましょう。ただし、分筆には登記や測量などの費用がかかるため、その分の予算も含めて用意しておく必要があります。
古い小屋のリフォームで固定資産税の対象になることはある?
古い小屋をリフォームするときには、固定資産税のことも考えなければなりません。建築物として扱われるということは、固定資産税の対象にもなる可能性があるからです。
古い小屋が固定資産税の対象になるかどうかは、基礎工事を実施しているかどうかで判断します。基礎工事を行っている古い小屋は、土地に定着しているとみなされ、固定資産税の対象になります。
また、古い小屋が建築物として扱われても、評価額が20万円以下であれば免税になり、固定資産税はかかりません。
まとめ
アイデア次第で、さまざまな活用方法ができる小屋。古い小屋をお持ちの場合は、リフォームをして自分好みの空間を作り上げられるため、ぜひ有効活用してみましょう。
ただし、小屋の増築や新築には建築基準法の制限が生じることも。自分の実現したい小屋のアイデアが法律に適合しているかどうかは、十分に注意が必要です。
工事の前には、自分だけで判断せず、自治体や、信頼できる業者に前もって相談しておくことをおすすめします。専門家の知識も入れながら、理想の小屋を実現させましょう。
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