シャワールーム設置で快適な暮らし|メリットやデメリット、費用を解説
欧米のホテルなどでよく目にする、シャワーだけのスペースのことを「シャワールーム」といいます。お風呂の文化がある日本では、シャワールームを導入している住まいは少数派。しかし、家の面積が限られている人や、お風呂に浸かる習慣がない人、介護や二世帯居住などの事情がある人にとっては、非常に魅力的な設備でもあります。
この記事では、シャワールームを設置するメリットやデメリット、かかる費用などについて解説します。シャワールームの種類についても解説しているため、シャワールームに興味を持っている人はぜひ参考にしてください。
シャワールーム=浴槽のないバスルーム
シャワールームとは、浴槽がなく、シャワーだけが設置されたスペースのことをいいます。
不動産投資SQUAREが実施したアンケートによると、都心の賃貸ワンルームマンションに住む人で、入浴設備はシャワールームだけでよいと考える人は、全体の23.2パーセント。ほぼ4分の1の人が、シャワールームに対して好意的な考え方を持っていることが分かります。
シャワールームを設置するメリット
シャワールームを設置することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく解説します。
手軽に身体を洗える
浴槽に入らなくても、シャワーで汗や汚れを落とせるシャワールーム。忙しい朝や疲れた夜にも時間をかけず、気軽に入浴できるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、浴槽があるバスルームの場合、浴槽をほとんど利用していなくても、定期的に浴槽の掃除をしなければ、カビや水垢が発生してしまうことも。シャワールームだけであれば、掃除の手間は大幅に少なくなります。
忙しい毎日を過ごしていると、お風呂に入るのが億劫になってしまうことも。シャワールームであれば、思い立った瞬間にシャワーを浴びられる気楽さが生まれます。
水道代やガス代を節約できる
浴槽にお湯を張ると、シャワーだけのときよりも水道代やガス代がかかってしまうことは避けられません。光熱費を下げたい人にとって、シャワールームは魅力的だといえるでしょう。
また、シャワーヘッドによっては、水量を減らしながら、水圧は変えないエコな商品も数多くあります。浴槽を設置しないことによって浮いたお金で、高品質なシャワーヘッドを購入することで、より光熱費の節約につながりそうです。
スペースを有効活用できる
浴槽は、大人1人が足を伸ばせるスペースが必要になるため、ある程度のスペースは必ず確保しなければなりません。浴槽をなくしてシャワールームを導入することで、空いた面積を広々と使えるメリットが生まれます。
また、面積に限りのある物件や、特徴的な間取りで水回りの面積が確保できない物件でも、体を洗うスペースが確保できるのは大きなメリットといえるでしょう。
シャワールームを設置するデメリット
モダンな印象でメリットも大きいシャワールームですが、デメリットも存在します。設置後に後悔をしないためにも、デメリットについては把握しておきましょう。
湯船につかることができない
シャワールームの最も大きなデメリットは、湯船に浸かれないことでしょう。日本人はお風呂が好きなことでも知られ、一般社団法人中央調査社が実施したアンケートによれば、お風呂を「好き」「どちらかといえば好き」と答えた人は、全体の94.2パーセントにのぼります。お風呂が好きなのにもかかわらず、好きなタイミングでお風呂に入れないことは、人によっては大きなストレスにつながってしまうかもしれません。
また、シャワーだけでは浴槽のような血行促進効果が得られないほか、風邪や筋肉痛などのときにも、温まることができないというデメリットも生まれます。
冬場は寒く感じる
シャワールームは浴室よりも空気の流れが多いため、温度が下がりやすい特徴があります。このため、冬場は特に、シャワーを浴びている間以外は体が冷えることも考えられるでしょう。場合によっては、ヒートショックなどの深刻なトラブルにつながってしまうことも。
浴室暖房などの設備を整えることによって、寒さを和らげることも検討してみましょう。
工事費用が高くなる場合がある
シャワールームは、水道管や排水管の引き込みや防水工事などを実施する必要があり、普通のリフォームやリノベーションよりも費用がかかってしまう場合があります。
シャワールームの設置に向いている人
シャワールームの設置に向いているのは、どのような人なのでしょうか。詳しく解説します。
2世帯以上で住んでいる人
2世帯や3世帯で住んでいる人は、浴室のほかにシャワールームを設置することで生活の質を大きく高められるかもしれません。
脱衣所などを分けられるためプライバシーを守れるほか、バスタイムが他の家族とかぶってしまうなどのトラブルも避けられます。
また、介護をしている人や、大型のペットを飼っているなどの事情がある人にとっても、浴室とは別にシャワールームがあることで、生活の流れを作りやすくなるメリットが生まれます。
ルームシェアをしている人
シェアハウスでは、浴槽がなくシャワールームだけが設置されている物件も少なくありません。シャワールームは浴室よりもスペースを取らないため、ルームシェアに適しているといえます。
また、シャワールームが複数設置されていれば、ルームメイトとのバスタイムの調整がしやすいというメリットも生まれます。
湯船に浸かる習慣がない人
アルファあなぶきStyleが実施したアンケートによると、お風呂に入る際、湯船に浸からずシャワーだけですませる人は全体の22.5パーセント。
また「欲しかった暮らしラボ」の実施したアンケートによると、一人暮らしの女性で、湯船に浸からずシャワーだけを利用している人は65.5パーセントと、アルファあなぶきStyleが発表した全年齢を対象にしたアンケート結果も大勢の人がシャワーだけで入浴をすませていることが分かります。
さらに「欲しかった暮らしラボ」のアンケートでは、ミスト付きシャワールームであれば浴槽につからなくても十分と考える人は全体の12.4パーセント存在することが分かっています。
浴槽がなくてもよい、入浴はスーパー銭湯や温泉で十分と考える人は、シャワールームを設置することに向いているといえます。
シャワールームは新たに設置できる?
既存の浴室に加えて、シャワールームを新たに設置することももちろん可能です。洗面所やトイレなどの水回りの近くにシャワールームを作る方法や、和室や洋室などの空き部屋をシャワールームに変える方法などがあります。
シャワールームを新たに設置する場合は、水道管や排水管の引き込みや防水工事などが必要になるため、費用が高くなることも見越して見積もりをとりましょう。
また、建築基準法や消防法などの法令や規制に違反していないかどうかも注意しなければなりません。
シャワールーム工事の種類
シャワールームにはさまざまな種類があります。種類ごとに工事規模の大きさや費用などが異なるため、それぞれの特徴をよく把握しておきましょう。
置き型
シャワールームの工事の中で最も気軽に設置できるのが、置き型のシャワールームです。完成しているシャワールームを、そのまま部屋に設置するだけなので、最小限の工事で設置できるのが魅力です。形は四角や多角形、扇形などさまざまで、部屋のデザインに合わせて選べます。
ただし、シャワー中の姿が外から丸見えになってしまうことには注意が必要です。
組み込み型
置き型と異なり、このあと述べるユニット工法や在来工法のように部屋として新たに作られたシャワールームのことを「組み込み型」のシャワールームと呼びます。費用はかかりますが、プライバシーを守りたい場合や、デザインにこだわりがある人は置き型よりも組み込み型を選択しましょう。
ユニット工法
組み込み型のシャワールームの中でも、あらかじめ工場で作られた部材を、現場で組み立てるものをいいます。壁や床のつなぎ目に隙間が生まれないため、水漏れやカビなどの発生を防げるメリットがあります。水漏れを確実に防ぎたい2階以上のフロアについては、ユニット工法のシャワールームが選ばれます。
ただし、ユニットバスはデザインや素材があらかじめ決まっていることがほとんどです。こだわりのデザインにしたいという思いが非常に強い場合は、在来工法を検討してみましょう。
在来工法
部屋の下地を防水加工し、その上にコンクリートやタイルなど敷き詰めてシャワールームを作る方法です。設置したいスペースの間取りに合わせて設置できるほか、壁などの素材をオーダーメイドで作成できるメリットがあります。
反面、カビなどが発生しやすいことや、費用が高額になることには注意が必要です。
シャワールームの設置にかかる費用
置き型のシャワールームの場合、本体にかかる値段は10万円程度が一般的です。また、組み込み型のシャワールームを設置する場合、在来工法では40万円~250万円程度、ユニット工法では25万円~80万円程度の費用を見ておきましょう。
この費用は、シャワールームに使用する建材のグレードや、給排水管の延長工事が必要になるかどうかによって上下します。また、浴室以外の部屋をあらたにシャワールームにする場合も、費用が高額になる傾向があります。
まとめ
シャワールームは、シャワーだけで入浴を済ませたいと考える人や、一緒に暮らすメンバーが多く、入浴時間がバッティングしやすい人にとっては、非常に魅力的な選択肢といえます。
設置には費用がかかりますが、ユニット工法で設置する場合は高くとも80万円以下など、手の届く範囲で増設が可能なケースも少なくありません。
快適で節約できる入浴スタイルを実現できるシャワールーム。メリットやデメリットをしっかり理解した上で、自分のライフスタイルに合っていそうであれば、ぜひ導入を検討してみましょう。
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