時短ハウスの作り方<洗濯・料理・掃除編>

洗濯·料理・掃除

時短ハウスのつくり方

家事代行サービスや便利な家電など、家事を効率化する方法はいろいろあるが、根本的に問題を解決するには、間取りから見直したい。動線やスペースの確保など間取りの工夫で家事を効率化するリフォームアイデアを紹介する

洗濯編

ここが大変!

重い洗濯物を運ぶ力仕事

畳んで振り分ける作業も面倒

洗う、干す、畳む、しまう、と作業ごとに場所が変わり、家じゅうのいろいろな部屋を移動する洗濯。

洗濯直後の衣類は水にぬれて重く、洗濯機置場から干し場までの距離が遠いと運ぶのも一苦労。

乾いた衣類を取り込んで畳んだ後も、それぞ

れの場所まで運んで収納するなど手間がかかる。

洗濯を時短する・間取りのキホン

1、動線を近づけ移動を最小限に

洗濯機置場、干し場、畳む場所、収納の四つの空間をできるだけ近づけ、移動距離をコンパクトに。洗濯機置場は必ずしも浴室や洗面室と一緒である必要はなく、同時に行う家事次第ではキッチンの一角にあったほうが使いやすい。

2、室内干しスペースを確保する

室内に物干しスペースを確保すれば、夜のうちに洗濯して、室内干ししたものを翌朝外に出すことができて、朝の洗濯が時短に。室内干しができると、冬や梅雨時も洗濯物をためずに済むので、結果的に毎日の洗濯がラクに。

3、衣類収納を1カ所にまとめる

衣類は個室のクロゼットではなく、家族共有の収納にまとめる。1カ所収納なら、持ち主ごとに分

けたり、運ぶ手間も少ない。入浴後に使うインナー類は浴室周辺に、その他の衣類は家族が出入りしやすいリビング近くが便利。

干す・取り込む

ぬれて重くなった洗濯物を一度に遠くまで運ぶのは苦痛

これで解決!

洗濯機と干し場を近づけ移動しやすくする

洗濯は1階で、干すのは2階という場合、ぬれ

て重量が増した洗濯物を運ぶのはなかなかの重労

働。干す作業をもっとラクにするなら、同じ階に

洗濯スペースを設けるのも一案。また、庭に干す

場合は実例のように1階の勝手口付近に土間付き

の洗濯スペースを設けると、洗濯物を外に運び出

したり、取り込んだりがしやすい。室内干しスペ

ースがあれば、天気や時間を気にせず洗濯ができ

るので、夜家事派の人や共働き家庭は特に便利。

洗う

お悩み

キッチンと洗面室を何度も往復、時々干し忘れることも

これで解決!

洗濯機は台所の近くに置いて料理と洗濯を同時に済ます

洗濯終了の音が聞こえず、うっかり干し忘れて

しまった――そんな失敗が多い人は洗濯機置場

の見直しが必要かも。例えば、朝食の支度をしな

がら洗濯をする人なら写真のようにキッチン直結

の空間に洗濯機置場を確保するのもオススメ。実

例の洗濯室は出入口が2方向にあり、キッチン側

の引き戸を開放しておけば料理と洗濯を同時進行

で進めやすい。洗面は廊下に設けたため、洗面ま

わりが混雑する時間帯も気兼ねなく先濯できる。

来客の際は引き戸を閉めて家事をするときは開け放しておけば洗濯終了の合図も聞き逃さない

畳む

お悩み

洗濯物を畳むのは時間がかかるし、アイロン掛けも週末の苦行

これで解決!

スペースを確保して畳む&アイロン掛けを楽に

乾いた衣類をハンガーから外し、畳む。この作

業を煩わしくしている原因の一つが、畳むスペー

スが確保されていないという点。取り込んだ衣類

をわざわざリビングまで持ってきて、ソファの上

で畳んでいるという人も多いのでは?そんなと

き、実例のように洗濯し終わったものを広げられ

るカウンタースペースがあれば、手早く畳める。

カウンターは立って作業するのにちょうどよい高

さで、アイロン掛けのスペースとしても使える。

しまう

お悩み

個室に分けるのが面倒で、リビングに洗濯済みの

衣類が積まれたまま⋯⋯

これで解決!

家族の衣類を一括管理、分別や運ぶ労力を使わない

洗濯し終わった衣類を、寝室や子ども部屋の収

納に振り分けるのも手間のかかる作業。そこでオ

ススメなのが家族の衣類をまとめて管理できる収

納。家族共用のクロゼットでハンガー収納を充実

させれば、洗濯し終わったものをハンガーのま

収納できる。さらに下着など細々としたもの

実例のように家族全員分を洗面室にまとめて!

よう。下着やパジャマ類を人目につかないよ

しまえる引き出し収納を確保するのがコツ。

◯料理編

ここが大変!

家族のためにつくって、片付け

365日休みなく続く家事

ただ料理をつくるだけに留まらず、買ってきた

食材を決まった場所に片付けたり、配膳や洗い物、ゴミの始末までを含めると、かなりの時間が取られる作業。特に食べ盛りの子どものいる家庭や家族の人数が多いと、料理の頻度、買い物の量も多く、負担の大きい家事といえる。

・食材の準備

お悩み

缶詰や乾物などをあちこち分散して収納

どこにしまったか探せない⋯⋯

これで解決!

パントリーで食材管理

ストック状況がすぐわかる

まとめ買いしたストック食材の収納場所は悩ましいところ。スペースがないと、あちこちに分散

してしまうことになり、いざ使おうとしても探せ

ず、慌てて買いに走るという無駄な時間を使うは

めになることも。写真のようなパントリーがあれ

ば1カ所で整理して収納できるので、重複買いや

足りないもののチェックもしやすい。入口をLD

の死角になる位置にすれば、扉なしでも中が丸見

えにならず、調理中にもさっと取りに行ける。

▼料理を時短する・間取りのキホン

1.作業の動線をコンパクトにする

出番の多い調理器具や調味料は使う場所のすぐそばに収納を確保。冷蔵庫とシンク、コンロが離れすぎないように、作業の流れに沿ったレイアウトで効率化させよう。食材をまとめ買いをする人は、玄関からキッチンへの動線にも配慮を。

2.作業スペースを十分に確保する

下ごしらえ中の食材を置いたり、盛りつけがスムーズにできるスペースを確保しよう。通路の幅に余裕をもたせれば、家族と料理を分担しやすくなり、時間と労力を減らせる。引き出しや扉を開けたときも考慮して通路幅を決めよう。

3.大容量の収納を設ける

パントリーなど大容量の収納を設けておけば、食材をストックでき買い物の回数を減らすことがで

きる。引き戸を大きく開け放して使える収納なら、しまいやすく、必要なものもすぐに探せるので、さらに時短につながる。

・調理

お悩み

作業のたびに場所の確保に右往左往

もっと手際よく料理をしたい

これで解決!

動線をコンパクトにしつつ

作業スペースにはゆとりを

冷蔵庫やパントリーから食材を出し、洗う、切

る、火にかけるなど、これらの距離をできるだけ

近づけ、少ない移動で済むようにするのがベスト。建物の広さでできること、できないことはあるが、余裕があるならL型や実例のようなアイランド型もオススメ。背面のカウンターも作業スペースとして活用できるので、下ごしらえをしたり、盛りつけたり、置き場を探していちいち料理を中断させることがなく、スムーズに進められる。

・配膳

お悩み

料理の配膳でキッチンと食卓の間を

何度も往復するのがおっくう

これで解決!

食卓との距離を短縮

回り込まないレイアウトに

料理を盛りつけてダイニングに運んだり、茶碗

や箸を準備したり、これらの作業にかかる時間を

短縮するにはキッチンとダイニングの距離やレイ

アウトがポイントになる。例えば、写真の例のよ

うにキッチンにつなげてダイニングテーブルを

レイアウトすると、調理したものを短い動線で配膳できる。テーブルの背面を食器類の収納とし、レンジや炊飯器などの家電も隣に配置。盛りつけ

たものや温めたものをすぐに食卓に出せる。

・後片付け

お悩み

シンクと食器棚が遠く

食器の片付けにうろうろ⋯⋯

これで解決!

食器収納はシンクそばに

移動せずに手早く収納する

洗い物は食洗機に任せて時間を短縮という家庭

が増えているが、洗い終わった食器の後片付けは

どうしても必要な作業。この工程を時短するには、食器の収納スペースのレイアウトに工夫が必要だ。実例のように、シンクの後ろの壁面を収納にすれば、拭き終えた食器を振り向くだけで収納できる。扉は開き戸よりも引き戸のほうが、片付け中はフルオープンにでき、収納場所がわかりやすい。通路の妨げにもならず使い勝手がいい。

・コラム

リフォームは時短設備を

導入するチャンス

家事にかかる手間を省き、効率化するには、設

備を更新するのも一つの方法。間取り変更を伴う

リフォームは、配線や配管の移動もしやすく、設

備を一新するチャンスでもある。リフォーム会社

に相談すれば、メーカーのショールームにアテン

ドしてくれ、実物や使い勝手も確認できる。また、床や壁の素材選びでも、調理や食事の後片付けにかかる労力は大きく変わる。どんな素材を使うのがいいか、リフォーム会社とよく相談しよう。

・作業効率アップの設備で時短

取り出しやすさに配慮した収納

引き出しは上段を奥にスライドさせる二層構造。使用頻度別の整理がしやすく、目的のものがすぐに取り出せる

トクラス「Bery」

吐水・止水が簡単な

タッチスイッチ水栓

洗い物や下ごしらえの途中で手が汚れているときでも、先端部分を軽くタッチするだけで水を出したり止めたりできる

TOTO「タッチスイッチ水ほうき水栓LF」

・掃除の手間が省ける設備で時短

自動洗浄機能付きのレンジフード

給湯トレイにお湯を入れて洗浄ボタンを押すと、ファンフィルターに集めた油汚れを自動洗浄。

フィルターを手洗いする面倒から解放されるクリナップ「洗エールレンジフード」

ゴミが勝手に集まる汚れにくいシンク

排水口に向かって約3度の傾斜がついているため、ゴミや汚れが自然に排水口に押し流され、シンク内をいつもきれいに保つことができるTOTO「スクエアすべり台シンク」

◯ 掃除編

ここが大変!

常に物が出しっ放しで掃除機がけがおっくう

郵便物や書類、おもちゃなど多種多様物が集まるリビングの掃除は、まず床やテーブルの上に出ているものを片付ける作業が必要。その上で、ホコリ取りや掃除機がけ、拭き掃除をする場合もある。後でまとめてやろうと時間を置くと、大がかりな掃除になり、かえって手間がかかることも。

▼掃除を時短する・間取りのキホン

1.パブリック空間に家族共用の収納を確保

 リビングの近くに家族共用の収納スペースを確保すれば、片付けやすく散らかり防止に。動線上に設けたり、使う人の背の高さも考慮を。数年後、収納する物が変わる場合もあるので、あまりつくり込みすぎないようにしよう。

2. 間仕切りの少ない空間をつくろう

扉や壁で仕切られ見えない部屋の掃除は後回しになりがち。壁を抜いて一続きにすれば、まとめて掃除機がけがしやすい。掃除機は簡単に取り出せる収納場所の確保がマスト。コード式の掃除機ならコンセント位置にも配慮を。

3.凸凹のないシンプルな空間に

置き家具の場合は、壁や床、天井との間に隙間ができやすくホコリがたまったり、間に物を詰め込む原因になることも。壁面にぴったり収まる造り付け収納を取り入れ、ホコリ取りや掃除機がけにかかる時間を短縮しよう。

片付ける

お悩み

家族が出しっ放しにしたものを

集めて片付けヘトヘト

これで解決!

家族が自分でしまえる

大容量の壁面収納を設置

片付け作業を時短するには、家族みんなが使い

やすい収納をつくることが大切だ。とはいえ、ただ収納を備えればいいのではなく、しまう物に合わせた配置、奥行きなどを工夫したい。例えば、写真はリビングの壁面に奥行き45cmの浅い壁面収納を設けた例。あえて引き出しを設けないことで、片付けをより手軽にしているほか、フルオープンにできる扉で、どこに何をしまうのか、定置をわかりやすくしているのがポイント。

掃除機を出す

お悩み

掃除機の出し入れが面倒で

気付けばリビングに放置状態

これで解決!

リビング直結のWTC(ウォークスルークロゼット)で「出し入れ」の手間を軽減

  

大きな掃除機はそのまま立てかけて置くには場所を取る。かといって、使うたびにホースなどを外してコンパクトに収納するのは面倒。

出番の多いリビングのそばで、すぐに掃除機を使える状態で収納するには、実例のようなウォークスルークロゼットがオススメ。

出入口が2カ所にあるので、別の部屋で使いたいときにも出し入れがしやすい。

充電式の掃除機を使うなら、収納しながら充電できるように内部にコンセントを設けておこう。

掃除機をかける

お悩み

掃除機を持って部屋から部屋へ

行ったり来たりしている

これで解決!

間仕切りを減らし

壁面収納で空間の凹凸も解消

古い家は細かく仕切られた間取りが多く、部屋ごとに掃除機を持って移動する手間がかかる。

だが、実例のように間仕切りをなくし、広く、回遊しやすくすれば、掃除機がけもスムーズに。

既製の収納家具を置くと、壁と家具との間に空間ができてしまい、

その凸凹に物を床置きしたり、掃除機が届かずホコリがたまってしまうことも。

壁面収納を取り入れ、空間をフラットにすれば、面倒な掃除機がけも一気に済ませられそう。

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