Q&A
リフォーム・リノベーションお金に関する
よくある質問(Q&A)
1章 : 中古住宅+リノベーションの"賢い買い方"で自分に合った物件を判断する
最初に誤解がないよぅにお伝えしますが、私は新築住宅が嫌いではありませんし、
新築を希望するお客様や新築がマッチするお客様には、おすすめする場合も多々あります。
決してなにがなんでも「中古住宅+リノベーション」に持っていこうとは思っていません。
ほとんどの方が「新築と中古どちらがいい?」と聞かれれば、「新築がいい」と答えるでしょう。
ではこう聞かれたらいかがでしょうか。
『「予算オーバーで生活の苦しい新築住宅」と「生活にゆとりのある
個性的な中古住宅+リノベーション」のどちらがいい?』
少し悩みませんか? ここで言いたいのは「思い込みを外すこと」です。
それは「新築がいいに決まっている」と思い込んでいる方がたくさんいるからです。
「駅から遠くて、少々不便だけどピカピカの新築分譲住宅」
「駅から近くて人気の立地の中古住宅+リノベーション物件」
資産性が高いのはどちらでしょうか。
少子化が進んでいる日本社会で住宅を購入するには
「住む快適さ」や「人への見栄」も大事ですが
「自分たちにとって資産になるか?」という目線も考えて
不動産会社の売りたい戦略に惑わされず
視野を広く持って、賢く物件を絞っていきましょう。
もちろん、その過程を経て新築住宅を買うのがベストで
あれば良い買い物ができるでしょう。
「中古住宅+リベーション」は言葉の通り、中古住宅を購入し、
自分好みにリノベーションをして、新築よりも安い予算で住まいを
手に入れる住宅購入の方法です。メリットは大きく3つあります。
①予算を抑えて生活を充実させることができる
家探しをしているうちに「家を購入する」ことが目的になってしまう人が多くいますが
「買った後の幸せな生活」のほうが大事です。
そのためには何と言っても無理なローンを組まないことが一番大事です。
家を買うことで、子育てや日々の生活、趣味やレジャーなどを
犠牲にしないようにしてほしいと願っています。
②自分好みの設備やインテリアを選べるので満足度が高い
「売る側」が選ぶよりも「買う側」が選ぶ設備機器やインテリアのほうが
満足度が高くなるのは当たり前ですね。
「売る側」が選ぶと、ビジネスモデル的に「見た目がよくて安いもの」
に当然なります。
一方、「買う側」(使う側)が選ぶと、自分好みの使い勝手のいい
気に入ったものを選びます。
色や仕様なども自分の好みで選べますのでもちろん満足度が上がりますよね。
③資産的に新築より有利になりやすい(物件価値が下がりにくい)
新築分譲住宅」は一部の超人気立地物件を除いて、基本的に1日
でも中古になった瞬間に価格が下がります (17ページ」
理由は、新築時の利益分と建物価格の価値が下がり続けるためです。
基本的に日本の税金の考え方では、建物は築22年で資産価値がゼロになります。
「家は20年から30年で建て替える」という習慣があったことも要因です。
しかし、今の住宅(特に平成に入ってからの建物)はもっと長い
年数住める高性能の家がたくさんあります。
50年以上住める価値の家がとても安く手に入り、好きなようにリノベーションできるの
が「中古住宅+リノベーション」の特権です。
「安く買って資産価値が下がらない」家を賢く買うことが資産形成にも役立つことでしょう。
仮に駅からバスで15分の30坪の新築住宅が3800万円であったとしましょう。
学校区や利便性はまあまあ、でも家はピカピカの新築です。
一方、中古物件で同じ3800万円ならどうでしょう?
駅から徒歩圏の人気の立地で買えませんか?
また同じ立地でももっと広い50坪ぐらいの家を買えないでしょうか?
新築物件は1日住めば中古物件です。もしこの先、家を売る時や貸す時は、
内装はほとんどの人がリフォームするのであまり関係なく、
立地の利便性、または土地の広さなどの条件のほうが重要になります。資
産として価値のある家が大事です。
中古住宅はメリットもたくさんありますが、新築分譲住宅より
"買うのが難しい"というデメリットもあります。新築の分譲住宅
などは目の前にある新しい建物のありのままを見て、気に入るかど
うかで購入の決断ができます。しかし、中古住宅の場合は「現状見
たまま」だときれいではない場合が多いので、テンションが下がり
やすいのです。もちろんリノベーションすれば新築と変わらない内
装になりますが、そのイメージを持つのが難しいのが現実です。
リスクをまとめると下記のようになります。
【中古住宅のリスク】
①建物の情報が少ない(図面や建築確認などの資料がないことが多い)
②リノベーション後のイメージが想像しにくい
③購入前にリノベーションの予算が立てにくい
④思うようなリノベーションができるかわからない。構造が不安
⑤税制やローン条件などが新築に比べて不利(複雑)
リスクの多くは「建物」に関する不安と「予算」に関することです。
しかし、これらの失敗しがちな原因としくみを知っておけば
買い方を工夫することができ、成功に近づくことができます。
このひと手間が難しいからこそ、お得に買うことができたり、
ただの負債ではなく「住みながらの資産」にすることができるのです。
しっかり理解しておけば楽しみながら賢く買えるので安心してください。
図3「中古住宅+リノベーション」が難しい理由
・建物の調査や状態を判断するのが難しい(建築資料がない)
・リノベーション後のきれいな状態を想像しにくい
・リノベーションにいくらかかるのか、費用の予算が立てにくい
・理想のリノベーションが可能かどうかがわからずに不安
・リノベーション費用も住宅ローンに組み込むなど、有利なローンを組むためにテクニックが必要
・「中古住宅+リノベーション」に向いている住宅ローン、金融機関を探す手間がかかる
・リノベーションをどの業者(工務店など)に頼むか、どうやって業者を探すかがわからない
・物件の担保評価がつきにくい
家を買う場合の契約の相手(売主)について、一般の人にはわかりにくいのが現状です。
「売主」がだれかという点と販売方法によって、不動産は流通の流れや取引の方法が変わります。
下記、おおまかに分けて説明します。
①売主(業者である場合がほとんど)が直接販売する場合
【取引形態「売主」】
・新築分譲物件に多い
・販売手数料は不要
・消費税が建物にのみ課税、土地は非課税
・契約相手は売主である業者
※業者が買い取ってリノベーションした後、「リノべ済み物件」として売り出している物件は「売主が業者」
②売主(一般個人・法人)が不動産業者を通じて販売する場合
【取引形態「仲介」】
・売主が個人の中古物件はほぼ仲介
・仲介手数料が必要
・消費税は土地・建物共にかからない
・契約相手は個人である売主
どちらがいい悪いというのはありません。
一般的に新築分譲は「売主」、古物件は「仲介」が普通です。
流通の違いは業者売主の新築分譲物件はその売主業者が直接販売しますが、
「中古仲介」の物件の場合は定められた不動産流通機構の情報(レインズ)を基に、
どこの不動産会社からでも案内してもらって、購入することができます。
言い換えると新築分譲物件は担当者が気に入らなくても「売主業者」からしか買えませんが、
「中古物件」のほとんどはどこの不動産会社からでも買えますので、
担当者や会社の考え方など自分に合った会社から買うことができます。
これも中古物件のメリットのひとつです。
「なーんだ簡単」と思ったかもしれませんし、「当たり前じゃないですか」
と思った方もいるかもしれませんね。しかし、実際にはこれがとても難しいのです。
予算は低ければ低いほど、購入者にとってはいいですよね。
では、「安い物件がいいですか?」と聞かれたらどうでしょう。
総額が安い物件が本当にいいのでしょうか。
ご存じのように不動産物件は通常、高ければ高いほど価値があります。
不動産には適正相場というものがあるからです。
土地も建物も価値があるから高くなるのです。
ということは、総額が安い物件はそれなりの価値になります。
立地が悪い、土地や建物が小さい、校区の人気がない、道路付けが悪いなどなど。
自分が買う資産としての価値が低ければ、売却も賃貸もしにくくなるかもしれません。
一方、不動産会社は購入者が組めるローンの上限額から予算を決めて、物件をすすめてきます。
これが無理な買い物をしてしまう一番の原因です。
内覧した物件で高いものが一番よく見えるので、
「これが買えるなら・・・、ほかを少し我慢してでもローンを払おう!
不動産会社さんも大丈夫と言ってくれてるし⋯⋯」という思考になり、購入に至ります。
そう、将来の学費や生活の余裕を考えることにふたをして。
ではどうすればいいでしょうか。それは、「逆算」して予算を知ることです。
今払える月々の返済額を基準にして、自己資金がある場合は諸経費、
買った後の不動産取得税、カーテン・照明・エアコン・家具・家電費用なども引いておく。
自己資金がない場合はその費用もローンで借りられる額から差し引いておく。
なおかつ中古物件の場合はリフォーム費用(新築でもカーポートやテラス屋根など
別途見ておいたほうがいい費用があります)を引いて、残った額が不動産物件の購入金額です。
図5 適正予算を把握しよう
例)手持ちの資金0円、毎月返済を約8万円で家を購入したい場合
A借入金 2840万円
(毎月返済約8万円、ボーナス返済なし、金利1%、35年返済)
B物件代金以外にかかる費用(概算)合計1000万円
・諸経費180万円(仲介料手数料、銀行保証料、手数料、登記費用、印紙など)
・リノベーション費用820万円(カーテン・照明・エアコン含む)
A(借入金)からB(諸経費やリノべ費用)を差し引いた額=物件を探す予算
この答えはあなたの生活スタイル、人生の考え方によって答えは変わります。
それは、賃貸には持ち家にないメリットもあるからです。
そしてあなたの資産状況にもよっても変わります。
もし、億単位の資産家であったり、家賃50万円ぐらいなら
痛くもかゆくもない人なら賃貸をおすすめします。
また、"所有しない"人生スタイルをしていてお金があるならホテル暮らしが正解でしょう。
ではなぜ私は、答えを「持ち家がお得」にしたのでしょうか。
それは、本書を読んでいる多くの方が、一所懸命に働いたお金を
自分と家族のために少しでも有利に、賢く、無駄なく使いたいと考えている方だと思うからです。
考えてみてください。賃貸に出しているオーナーは何のために住宅を貸しているのでしょう。
ボランティアでしょうか。いいえ、儲けるために貸しているはずです。
そう、家賃はオーナーの利益のために毎月払っています。
もちろん住まわせてもらっているという対価をいただいてですが。
例えば賃貸派だとして、28歳から85歳まで年間 100万円(毎月約8万円)の
家賃を払い続けるといくらになるか考えたことありますか?
年間100万円×57年間で5700万円!5700万円も支払って資産0円。
そんなに払ったら、立派な家が買えると思いませんか?
無理な金額の家は買ってはいけませんが、
賢く資産になる家を買えば、もっと少ない金額で、
さらに売れば現金になる資産を手に入れられます。
なおかつ、もし自分が死んだ時にはローンが消えて家族に資産を残せるおまけつきです。
住居費というのは人生においてとても大きな費用を占めるものです。
スーパーで1円でも安く買い物をする努力より、もっと大きな節約にも資産形成にもなるのです。
真剣に考える価値あると思いませんか?
図6 賃貸のメリット・デメリット
メリット
・持ち家に比べて引っ越しがしやすい
・固定資産税がいらない
・修繕費があまりいらない
・ローンを組まなくていい
・近所をあまり気にしなくてもいい
デメリット
・一生家賃を払い続けなければならない
・自分の好きなデザインやリフォームができない
・ペットがいると借りられる家がかなり限定される
・高齢者になると住める家が限られてくる
・長期的に見ると家にかける総支払額は多くなる
・いくら家賃を払っても資産にならない
・大黒柱が死んでも家賃はずっと払わなければならない
もしかしたら親から「家を買うなら頭金を貯めてから買いなさい」
と言われたことはありませんか?
しかし、現代においては違います。
もちろん当時(親世代が家を買った頃)は間違っていたわけではありません。
なぜなら金利が高かったからです。
今から30〜40年前、銀行にお金を預けると8%ぐらいの金利
がついていたこともあります。
銀行に貯金していればお金は増えたのです。
対して住宅ローン金利は住宅金融公庫の金利で5.5%でした。
35年ローンだと借りた金額の倍額を支払う時代だったのです。
では今、銀行にお金を貯金して増えるでしょうか?金利は0.00数%。
ATMを使って手数料がかかったり、物価の上昇を考えると、
はっきり言えば銀行に入れていても目減りします。
対して住宅ローン金利は実質借り入れでは1%を切って借りられるところがたくさん出てきています。
増えない貯金を一所懸命して、その間に家賃を年間100万円(月8万円以上)
払っていれば当然マイナスです。
例えば、住宅資金として毎月2万円を貯金するとします。
5年間で120万円の貯金ができます(2万円X60ヶ月=120万円)。
一方、家賃で毎月8万円が出ていきます。5年間だと、8万円
60ヶ月で480万円の支出となります。
貯金した分、住宅購入時にローン借り入れ額は120万円減らせますが、本当にお得でしょうか?
違いますね。先に買って家賃分をローンにまわして支払ったほうがお得ではないでしょうか?
金利が安い今の時代に合った買い方です。
「そろそろ家を買おうか?」と考えた時、まずはインターネットや
雑誌などで物件情報を探しますよね。
そして、「これいいな」「こっちもいいね」と言って見ながら、
「土地は最低30坪必要」「駅から徒歩10分」など、希望をつくっていくと思います。
それは間違いでもなんでもありません。ここからです。
気になった物件を見に行こうと不動産会社に出向きます。
少しアンケートに答えて話をすると、「どんな物件をお探しですか?」とか
「予算はいくらぐらいでお探しですか?」と聞かれて、
「〇〇駅徒歩10分内で駐車場付きでリビングが広くて30坪ぐらいの戸建て住宅。
予算は4000万円ぐらいかな?」と、想像で答えます。
そして、いくつか物件資料を見た後、「この物件とこの物件を見に行きましょう」
となっていきなり見に行くのが、不動産会社の進め方の大半でしょう。
そして見た後で「どうでした?何件目が気に入りましたか?」
「あの物件は超お得なおすすめ物件なんですよ!なくなる前に申し込みを入れましょう!」
「資金計算はこんな感じで、お客様ならローンも大丈夫ですよ!さぁ!」
となってしまい、「いやいやちょっと見たかっただけなんで⋯⋯」と引こうとしても、
なかなか逃がしてくれない。
この一連の流れが実際に多いパターンです。
物件情報を見るたびにいろいろな不動産会社に行き、同じことを繰り返してしまう。
そして、そのうち流されて買っちゃうものです。
自分の本当の適正予算も知らずに。有利な賢い買い方も知らないままに。
価格の相場も知らず。中古住宅の選択肢も与えられず。
またはリフォーム費用もわからないままに⋯。
そうです。本当は物件を選ぶのは最後なのです。私の会社の例で言うと、
まず「予算の立て方・賢い買い方・物件の探し方」を初回はセミナーで学んでもらいます。
営業マンが詳しく説明してくれる会社もあるでしょう。
そう、遠まわりですがその知識を理解してから物件を見に行くのが結果的には成功に近づきます。
「急がばまわれ」、不動産購入成功の秘訣はそこにあります。
嫌な答えですみません。でもこれは現実です。例えばですが、
目の前に5歳くらいの子どもがいて、なぜか100万円ほどの大金を持っており
「お金はある」と見せてきます。価値はわかっていないようです。
そしてあなたが持っているカバンをどうしても買いたいと言ってきたとします。
そのカバンは2万円で買ったもの。1年使った中古品です。
売ってもいい状況であると仮定して、その子どもが「値段はお任せします」
と言っているとしたら、いくらで売りますか?
もちろん親切なあなたは1万円とか2万円以下で売るかもしれませんね。
でも、冗談で「100万円」と言ったら、「ありがとう」と100万円を渡されるかもしれません。
売る側も、「こちらこそ!」と言ってそのままもらう人もいるかもしれませんね。
たとえが極端で、なおかつ営利目的ではないですが、
不動産会社はもちろん営利目的で商売をしています。
物件の販売にも住宅ローンの手続きにもいろいろなしがらみが絡みます。
お客様とは関係のない手数料やマージン、お付き合いというしがらみです。
目の前のお客様が無知で勉強する気のない人であれば、
「ローン事務手数料10万円を標準価格ということにして、当たり前のように諸経費に入れておこう。
もしおかしいと言われたら値引きしよう」などとしている会社もかなりあります。
「ほかの銀行を探せばもう少し金利が安くなるかもしれないけど、
求められていないし、面倒くさいからこの銀行でいいんじゃない」
と心の中では思っているなんてことは普通によくあると思います。
先ほどの例で「売って」と言ってきている人が仮に30歳ぐらいで、
お金の価値を知っていて、カバンのこともよく知っていて、なおかつメルカリなどで
値段までいろいろ調べていたら、「100万円で売る」と言えるでしょうか?
おおげさなたとえですが、購入する側のお客様がある程度の知識を持っている、
または持とうとしていることは、交渉事が避けられない不動産購入には大事なことなのです。
家を買うのに「居住性」「デザイン」「機能性」などはもちろん大事ですね。
「人からうらやましがられるような家」にも住みたいものです。
実は日本では、この点を重視して家を買う人がかなり多くいます。
しかし、日本と違い欧米では、新築ではなく、圧倒的に
「中古住宅+リノベーション」のほうが主流となっています。
それは「資産性」という点に注目しているからだと私は思います。
例えばアメリカでは人生で平均5回ぐらい家を購入したり、売却したりします。
日本は「一生の買い物」と言って1回または2回ぐらいの方が多いでしょう。
そのため、日本では自分の家を「売却する」や「賃貸に出す」という感覚が少ないのが実情です。
これからは、資産性も考えて買うことが大事だとはっきりお伝えします。
簡単に言えば、「売りやすい家」や「貸しやすい家」を買いましょうということです。
いくら新しくて住みやすくても、売却できる価格が住宅ローン残高を
下まわっていればその家は売りたくても売れません。
本人以外から見れば「ただの負債」にしか見えません。
日本特有の「建物価格」の下落率の急激さを逆に利用して、価格の落ちた中古住宅を賢く買って、
リノベーションで快適に暮らしながら、「買った価格に近い価格やそれ以上の価格で売却できる家」
を考えて買っていれば、その世帯にとって大きな資産になってくれるでしょう。
その視点があれば「いかに立地が大事であり、大きさ、道路付け、人気度合い」などの
建物の新しさより大事なものが見えてくるでしょう。
家が人生を縛ってしまうような買い方はやめましょう!
図10 家を資産で考えるとは
新築は買ったらすぐに建物価格が下がり、
住宅ローンのほうが大きくなってしまう
売りたくても売れない!!20年近く家に縛られる状
毎月の返済額も多く、売る時はローン残高を現金で足す必要がある
=「負債になる家」
中古住宅はすでに建物価格が落ちて安定した状態
買った時と同じ価格で売れればローン返済分が手元に戻ってくる!
毎月の返済額も少なく、売ると現金が増える=「資産になる家」
売りやすい家・貸しやすい家の特徴
・駅から近いなど交通の便がいい物件
・買い物・病院など人気のエリアの物件
・学校区が人気のエリアの物件
・小さすぎず、大きすぎない家
・価格が手頃な物件(購入できる人が多い価格帯)
・角地・眺望など付加価値のある物件
・駐車場がある物件 など
私が本書を書いている大きな理由は、「住宅購入で失敗する人をなくす」ことです。
何千万円という人生を左右しかねない買い物なのに「家の買い方」をまったく勉強せず、
何の知識もないまま不動産会社に行く人がとても多いのが実情です。
家の買い方は学校でも教えてくれず、塾もありません。
数万円から数十万円するブランドもののカバンや服を買う時は
あんなに調査して知識をつけている女性でも、なぜか数千万円の買い物に対して、
「初めてなのでまったくわかりません」という状態なのです。
お客様にとっては一生で一度の買い物でも、不動産営業のプロにとっては毎月の売上、営業数字の話です。
嫌な言い方かもしれませんが、これも事実です。不動産会社の報酬は
「手数料収入で物件金額の3%+6万円+税」です。
もちろん高い物件金額のほうが手数料収入も多くなります。
A:1500万円の中古住宅の仲介の場合→仲介手数料51万円+税金
B:3000万円の中古住宅の仲介→仲介手数料96万円+税金
C:4000万円の新築分譲一売主利益 300万〜500万円
どちらも営業マンの仕事量は同じでしょう。
むしろ高い物件のほうが楽なケースが多いです。
そして新築分譲住宅の場合は、表示価格は手数料0円ですが、
業者が売主の場合、もっと多い利益を含んだ物件価格で販売をしているのです。
つまり、いい営業マンをパートナーにすることが大事です。
そのためにも任せっきりでなく、自分自身でも知識を得て、
意思をはっきり持ちながら一緒に成功に近づきましょう。
38ページの資金計画フローチャートを見てください。
まず、①毎月返済可能額を決めます(ここで無理しないようにしましょう)。
②金利と借入期間の設定をして、③借入可能金額を計算します(ここは不動産営業マンに聞くと簡単です。
自分ひとりで計算する時は、ローン計算アプリなど利用するといいでしょう)。
④不動産購入に使える現金プラス⑤援助(ある場合)で⑥自己資金を決めます。
そうして③借入可能金額と⑥自己資金の合計が⑦資金総合計になります。
例えば月8万円返済として③2830万円+自己資金200万円の
場合は⑦3030万円となります。
そこから⑧諸経費(物件価格の10%前後)を引きます。それがマイホーム購入資金額です。
でもまだです。この金額で物件は探さないでください。
そこから⑩リノベーション費用(カーテンやエアコン・家具・照明・家電も忘れずに)を引きます。
その残りの金額が物件価格となります。
例でいうと、3030万円-⑧諸経費300万円=2730万円。
⑩のリノベ費用を計算するのはプロに見てもらわないと簡単には出せません。
あえて簡易で出すとすると、築年数にもよりますが、新しければ300万円〜、
年数が古ければ1000万円ほどかかる場合もあります。
失敗しないコツは必ず諸経費とリノベ費用を先に計算して差し引いてから、
物件金額を頭に入れることです。
それから物件を探していけば築年数など物件価格によって
リフォーム費用が変わっても対応できるようになると思います。
例えば、2730万円-⑩リノべ費用700万円とすると、2030万円で購入できる物件を探します。
同じ2730万円でも新しめの物件で、リノベ費用が200万円なら2530万円の物件を探せます。
逆に、古くてリノ費用1200万円かかるなら1530万円の家というふうに、
組み合せが予想できるようになります。
それではお金の流れを段階別で解説していきます。
①購入申し込み時→0円。基本的に必要なし。
築分譲住宅や新築マンションでは10万円程度が預かり金として必要になる場合がありますが、
中古住宅は必要ありません。
②契約時手付金、契約書紙代、仲介手数料半金
手付金:物件代金の5〜10%、または50万円や100万円などのキリがいい金額
契約書印紙代:物件金額により1万〜2万円程度
仲介手数料:半金を支払い
③決済・引き渡し時→残代金、諸経費など
残代金:現金または住宅ローン借入金額
諸経費:不動産会社担当者が明細を準備、段取り
住宅ローン関係費用:借入金額から差し引き
登記関係費用:当日、現金で司法書士に支払い
固定資産税など税金:初年度分を案分して現金で支払い
仲介手数料:現金で残額を支払い
④リノベーション費用
住宅ローンに組み込んだ場合:金融機関により着工金は相談。
工事完了後金融機関より業者へ一括支払いのケースが多いので主は現金で出す部分のみ準備
現金で工事する場合:リノベーションの契約金額によって「着工金」「完工金」の2回、
または「中間金」を挟んだ現金の3回支払いのケースが多い。
⑤入居時
引っ越し時:引っ越し費用、エアコン・カーテン・照明・家具・家電など
不動産取得税:引き渡し後、忘れた頃に請求がくるので要注意
手出しの現金を最小にしたい場合でも、②契約時の金額は必要になります。
諸経費もローンにした場合は、③決済時も現金は持ち出さなくても大丈夫です。
また、現金をたくさん持っている場合や親の援助などがある場合は大丈夫ですが、
リノベーション費用はできるだけ住宅ローンに組み込みましょう。
加えて、⑤の費用を準備しておらず現金のやりくりが厳しくなるケースが多いので要注意です。
建物の状況を把握しておくことです。
「リフォームは引き渡してから考えてください」
「まずは物件を押さえないと!」
「だいたい〇〇万円ぐらいじゃないですか? 細かい金額は購入してから見積もりを取ってください」
このように言う不動産会社に負けないでください。
そうとはいえ不安だと思いますが、ワンストップ購入(中古住宅の購入とリノベーションを
ひとつの窓口で連携して効率よく購入する買い方)に慣れている業者なら、
上手に導いてくれるので大丈夫です。
しかし、まだまだワンストップ購入ができる業者は少ないのが現状です。
中古住宅+リノベーション」に強い不動産会社の見分け方は、
「不動産営業マンに聞く『魔法の質問シート』」(46ページ)を使って質問してみてください。
うまく答えられなくても、誠意を持って対応してくれそうなら
共にベストを尽くして進めてくれるかもしれませんし、
いい建築(リノベーション)会社を紹介してくれるかもしれません。
あまり期待できない場合は、先にリノベーション会社を訪問したりして、
お気に入りの担当者を探しておくのもいいかもしれません。
物件案内時に同行してもらったり、見積もりを早くもらえるかもしれません。
ここで誤解しないでください。不動産会社を悪者にしているわけではなくて、
不動産会社の「早く物件を確保したい」思いと、
「ゆっくり希望を聞いて正確な見積もりを出したい」建築会社の業界の
スピード感の違いが原因で、現実的にしょうがない事象なのです。
これがクリアできると賢いワンストップ購入が必ずできます。
さらにアドバイスするならば、「リノベーション費用を多めに
住宅ローンに組み込んでもらうこと」です。
不動産担当者が金融機関に物件金額とリノベーション費用の合計
を「借入額」として申込書に書く時に概算見積より多めに入れてもらいましょう。
後からグレードを上げたり、ここも直したい、あそこも手を入れたいという
希望が出てきた時に対処できるようにしおきましょう。
多めに入れた借入金額が、リフォーム打ち合わせに不要であれば決済前の金融機関での
「金銭消費貸借契約時」に減額できるのでご安心ください。
不動産営業マンとは二人三脚で住宅購入を進めていくパートナー。
買う側も知識をつけて、希望を叶えてくれる人を見つけましょう。
図14-1 〜賢いワンストップ購入ができるか判断するための〜
不動産営業マンに聞く「魔法の質問シート」
質問事項
1)中古住宅の仲介は得意ですか? 実績はありますか?
2)リノベーションする場合、リノベーション費用を住宅ローンに組み込めますか?
3)リフォームも同じ金利でローンが組めますか?
4)購入前に御社でリノベーションの打ち合わせはできますか?
・リノベーションのプロを紹介していただけますか?
・リノベーションのプロをこちらで連れて来てもいいですか?
5)リノベーションの打ち合わせをするのはだれですか?
6)リノベーションの見積もりはできますか?または連携した会社でできますか?
7)建物のインスペクション(建物状況調査)はできますか?
・インスペクションできる人を紹介してもらえますか?
・建築士の知り合いを連れて来てもいいですか?
8)物件によって、瑕疵保険に入ることはできますか?
(特に築年数がローン控除の対象より古い場合は必要です)
9)購入後のアフターサービスやメンテナンスはありますか?
上記質問は不動産会社にとってはまだあまり得意ではない部類の質問であることを知っておきましょう。
なので、最初に一気に質問を浴びせてしまうと「嫌なうるさい客」と思われてしまう
ことがあるかもしれません。注意しましょう。
ワンストップで対応してくれる会社がベストですが、近くにない場合は、担当者や会社の雰囲気が良くて
上記質問に答えられなくても誠意のある対応をしてくれるパートナーを選びましょう。
図14-2 質問の解説
1)あくまで確認です。新築しか販売していない場合もあるので、中古住宅の仲介を得意とする会社が
ベストです。しかし、両方扱っている会社がほとんどなので、比率や実績を確認しておきましょう。
2)最近は組み込めることが増えてきているので、もしできないという回答ならやめておきましょう。
買った後からリフォームローンを組むと失敗します。
3)同じくこれができないようならやめておきましょう。
4)これが意外とハードルが高いです。社内でできる、または提携先でできるという回答の場合は
問題ありません。しかし、できる会社のほうが少ないのが現実です。でもここが大事です。
紹介してくれるのが営業マン個人で、紹介された会社も個人事業者で地域でもあまり名前を聞かない場合は、
むしろ自分で地域密着で評判のいいリフォーム会社を何社か当たって見つけておきましょう。
5)この質問で4の質問に適当に答えた場合、答えに詰まったりします。
はっきりと担当がいる場合は安心できますね。
6)リノベーションの見積もりはスピードが必要で、概算であっても根拠ができるだけ明確なほうが
後でトラブルになりにくいので好ましいです。「お客様が自由にどこかで取ってください」
というスタンスならやめましょう。
7)これも業者にとってはきつい質問です。まだインスペクションに対応できていない業者のほうが
多いと思っていてください。できなくても協力する体制や気持ちがあるかを確認する質問になります。
無理な場合はリノベーションを頼む会社で聞き、連れて行きましょう。
8)これも業者にとっては面倒くさい質問です。中古住宅の瑕疵保険について詳しく知っていれば
頼もしいですが、知らなくても調べてくれるなど、誠意ある対応の担当者を探しましょう。
9)これは不動産仲介専門の会社ではできないところがほとんどです。「アフターサービスを
望むのなら新築にしてはどうですか?」と返されるかもしれません。しかし、できる会社はあります。
または、しっかりとしたリフォーム会社を間に入れて購入すれば可能です。
不動産購入において「諸経費」は絶対に見ておかないと失敗します。
でも「諸経費」がかかるのは知っているけれども、いくらかかるかはわかりにくい
という方もたくさんいると思います。
なぜなら物件金額によって変わるからです。
また物件金額は同じでも借り入れるローン金額によっても変わるからです。
諸経費の内訳を右の図にまとめました。
諸経費の中で大きいのは、住宅ローンに関わる経費と仲介手数料です。
住宅ローン保証料は借入金額によって変わります。
また不動産へ支払う仲介手数料も物件金額によって変わります。
少し多めに見ておくと安心なので、物件金額の8%〜10%程度
を見ておきましょう。
果として少なく済めば、そのお金は後にやってくる不動産税の支払いや
もっと揃えたかったインテリア家具購入などに使えます。
消費税は現在10%ですから、高額な不動産取引では消費税もかなり高額になるので気になると思います。
ここで、不動産売買における消費税の基礎知識をおおまかに説明します。
①土地に消費税はかからない
②売主が課税業者でなければかからない
③仲介手数料には消費税はかかる
まず土地は消費税非課税になります。これは新築・中古関係ありません。
そして売主が業者(課税業者)の場合は、建物にのみ消費税がかかります。
ですから、新築分譲住宅や新築を建てる場合、課税業者が売主なのでその建物価格に消費税がかかってきます。
一方、中古住宅の売買においてはほとんどが個人間売買になり、
売主が課税業者ではないので消費税はかかりません。
ただし、中古物件でも課税業者が売主である「リノべ済みの中古物件」は建物部分に消費税がかかります
(物件案内資料の販売価格には消費税を含んで表示している場合がほとんどです)。
物件を買ってからリノベーションする場合は、そのリノベーション費用には消費税がかかります。
また、仲介業者は課税業者なので、仲介手数料にも消費税はかかることを知っておいてくださいね。
「この物件は当社が売主の物件なので手数料がかかりませんよ!」と、
不動産会社からすすめられるケースがあると思います。
チラシやネットにも、いかにもお得なように書いてある場合をよく見かけます。
しかし、その売主業者が利益を得てないかと言えばそうではありません。
販売価格の中に売主業者の利益が含まれていて、買う側からは見えないだけです。
むしろ、仲介手数料より高い利益が入っているケースのほうが多いでしょう。
例えばこのようなケースです。
A
個人間中古物件:契約価格2500万円
仲介手数料:物件価格×3%+6万円+消費税 891,000円
中古物件の仲介の場合の物件価格は原価にかかわらず、その時の相場価格になります。
仲介手数料も明確で、一定額になります。
仮に次の日に売り出しても販売価格は変わりません。
B
新築分譲物件:契約価格3500万円
「仲介手数料は0円!」でお得に見える物件ですが、実は利益が300万から500万円は入っています
(もちろん業者や物件の状態によって利益金額は変わります)。
売主の直物件も販売価格はその時の相場価格になるのは同じですが、
いかに原価を下げるかで利益が変わります。
仮に次の日に売りに出すと、その売主業者の利益分販売価格が下がるのが現実です。
どちらがいいか、正解はありません。不動産は立地や条件が同じではないので、
物件によって取引の形態が違うことを知っておくことをおすすめします。
総務省が公表した2020年の国勢調査では、日本全体で単身化が
一段と進む現状が浮き彫りになり、ひとり暮らしが世帯全体の38.0%を占めています。
高齢者の単身世帯も増えていますし、未婚率も高くなっているのが現状です。
私の会社にも離婚後の家探しでシングルマザーのお客様が家を買いに来るケースがとても増えています。
結婚しない方も増えていますし、単身者が家を買いに来るケースは年々増えていく傾向にあると思います。
単身者やシングルマザーのお客様の要望(購入動機)は、
・家賃を払い続けるのがもったいない
・リノベーションを楽しんでみたい
・低予算で購入したい(高額なローンは組みたくない)
・自分の身に何かあった時、子どもに家を確保してあげたい
このような点が主な要望や購入動機です。共働き世帯に比べると
収入の入り口がひとつなので、低予算で高額なローンは組みたくないという要望が強いです。
もちろん私もその考え方に賛成です。
賃貸では内装も設備も好きに遊べないので、自分のお城を手に入れて
おしゃれインテリアやリノベーションを楽しみたい気持ちもとてもわかります。
だからこそ、単身者やシングルマザーにも「中古住宅+リノベーション」ピッタリの買い方なのです。
図18 単身者・シングルマザーで住宅購入を検討している方へ
単身者·
シングルマザーで
住宅購入した人の声
死ぬまでの家を
確保できて安心した
古くて安い物件だったけど
リノべでとてもおしゃれな
気に入った空間になった
今までの家賃と同じ返済額で
広くなって設備も
グレードが上がって快適
自分が死んでも団体信用生命保険で
子どもに家を残してあげられるので安心
ペットを飼えるようになってうれしい
"自分だけの家"が持てたことで
喜びの声をたくさん聞きます。
いざ、リノベーションをするための会社を探そうと思ってもどう探せばいいのか、
また何を基準に探せばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
特に「中古住宅+リノベーション」を賢く買う場合、業者や担当者選びは
最重要ポイントと言っても過言ではありません。
普通の方は「家探し」は不動産会社でされると思うので、ひとつ目は不動産会社の選び方です。
ずばり地域密着型の「中古住宅+リノベーション」専門店(ワンストップ購入ができる不動産会社)がベストです。なぜなら一般の不動産会社が不得意とするリノベーションに強いからです。
この場合は1社ですべて完結できます。
物件購入とリノベーションの別会社に振りまわされることもなく、スムーズに進みます。
不動産会社の担当者は気に入ったけど、リノベーションはワンストップでできない
という場合もまだまだ多いでしょう。
もし不動産会社からリノベーション会社を紹介されたら、まずは調べましょう。
不動産屋にくっついているブローカー的なリノベーション業者を紹介されることも多いからです。
不動産会社にバックマージンを払っていて、デザインや提案・工事の質はいまひとつというケースが多いです。
それを感じ取ったら、発注する前にリノベーション会社を変えたほうがよいでしょう。
リノベーション会社を自分で探す場合、ただ建築リフォームだけをしている会社ではなく、
下記のポイントを押さえて選びましょう。
①物件探しの段階から手伝ってもらえるのかどうか
②不動産購入とリノベーションをワンストップ対応してもらえるのかどうか
③豊富な実績や施工例があり、見積もりのスピード、デザインなど対応がよさそうかどうか?
こちらも物件購入とリノベーションがワンストップでできればラッキーです。
ただ、不動産の物件紹介の力が弱いといい物件が手に入らないこともありますので、
物件情報などは自分でも探したり、不動産業者から情報をもらったりしてみましょう。
どちらも地域で長い期間営業している会社で実績の多いところなら安心です。
インターネットやチラシで探すか、知り合いに紹介してもらうのが一番失敗しにくいかもしれません。
リノベーション会社なら「ホームプロ」などの紹介サイトもありますが、
「中古住宅+リノベーション」に特化した会社は少ないです。
「中古住宅+リノベーション」を得意とする不動産会社またはリノベーションの会社をネットで探して、
その会社のお客様の声などを調べてから問い合わせてみるのがいいでしょう。
2章 : 住宅ローンの基礎知識を身につけて「借り方」で差をつける
「表示価格が購入価格じゃないの?どういうこと?」と思いますよね。
例えば、不動産の広告に3500万円と書いてある家は3500万円ですから、
3500万円支払えばいいのではないか、と考えるのが普通です。
もちろんそうなのですが、条件がつきます。
「現金で一括支払いする場合は」という条件です。
では、業者や法人以外の個人で、現金一括で不動産を買う人はどれぐらいいるでしょうか?
親がほぼ全額援助してくれる場合や1000万円以下の家では稀にいるのですが、
3500万円の家を自分で買う30代の人はほぼいません。全員住宅ローンを利用します。
ローンで支払うということは、必ず金利が乗った総支払い金額は3500万円より多くなりますよね。
そう、総支払金額は購入金額とは違うのです。当たり前のことなのですが、
意外とその差額がいくらになるか、買う前に知っておく人は少ないのも現実です。
額を知れば必ず金利に敏感になりますし、住宅ローンのなどにも興味を持つはずです。
そこが一番大事なことで、知っておいてほしいところでもあります。
「気がついたら不動産会社のすすめるままに借りていた」ということがないように⋯
誤解を避けるために言いますと、不動産会社のすすめるものがダメなわけではありません。
親切な営業マンはあなたに合った一番有利なものをすすめてくれるでしょう。
しかし、そういうケースばかりでもないのが現実です。
いずれにしても、長期にわたるローンを借りる本人がそのローンのことを知り、
納得してから組んでほしいというのが私の想いです。
しかし、学校でも会社でも住宅ローンについては教えてくれないし、学んだこともない人がほとんどです。
だからこそ、今から知識をつけてくださいね。
図20 金利とは
金利=お金を借りた人が借りたお金(元金)に対して支払う「利息の割合」のこと
利息=借りた側から見た貸借の対価
利子=貸した側からみた貸借の対価
利回り=投資した元本に対して増えた割合
金利は適用される期間によって、「年利]「月利」などがあります。住宅ローンや預金金利など、
商品の金利は、元金に対して1 年間で支払う利息の割合である「年利」で表示され一般的です。
住宅ローンの金利は、各金融機関が定める基準金利(短期プライムレート)を
元に、割引や優遇された後の適用金利で決まります。借入時に実際に適用
されるという意味で「実行金利」という言い方もします。
この答えは簡単ですよね。前項で総支払額と購入価格は違うことをご説明しましたので。
でも、こう思いませんでしたか?
「2900万円と4900万円って。同じ借入額でそんなに変わらないでしょう?」と。
しかし、実際に事実としてあった話です。
私が不動産を販売し出した頃(平成3年〜)は、当たり前のように多くの人が、
35年ローンで住宅を買うと総支払額が2倍になる金利で不動産を買っていました。
2500万円を借入して4900万円の総返済額になるローンの金利は4.5%です。
今からは考えられないかもしれませんよね。今は2500 万円借入して
2900万円の総返済額となる金利0.9%で借入ができます。
金利の差でどれだけ違うか理解できると思います。物件は同じです。住み心地も同じです。
金利の違いに敏感になってほしいと思いますし、金利だけでなく、
固定金利や変動金利の性質や団体信用生命保険の種類など、
あなたにとって最良の住宅ローンを選ぶ目を持ってほしいと思います。
「そんなの答えになってない」と思ったかもしれません。
この質問は実際にお客様から聞かれる非常に多い質問です。
しかし、こればかりはだれにもわかりません。
なぜなら、時代の流れ、世界の情勢、紛争、大災害など、何が起こるか
未来はだれにも予測できないからです。
たびたび政権は変わりますし、いずれは日銀総裁も変わるでしょう。
金融業界のしくみ自体もAIやブロックチェーンなどで、今後大きく変わるかもしれません。
それを証明するように、不動産業界にずっといる私も 20代の頃に
今のような低金利になるとは思ってもみませんでした。
当時の金融関係者もおそらく同じ意見でしょう。
しかし、買う側の気持ちはよくわかります。
なぜなら住宅ローンを組むのに、「固定」か「変動」かを判断しなくてはいけないからですよね
(詳細は78ページ)。
ですから、未来は予測できないのをご了承いただいた上で、参考に個人的な見解をお話しします。
「多少の上下はあれど、おそらく簡単には金利は上がらない。
今の水準の金利がある程度続くだろう」、これが私の意見です。
なぜそう思うかと言うと、簡単には景気との関係です。
今の低金利の水準は、ここ20年以上ずっと続いてきました。
もし、金利を大きく上げていくと恐ろしい数の住宅ローンを返せない人々が出るでしょう。
企業も融資を受けて新規事業に乗り出しにくくなるでしょう。
家も車も売れなくなるでしょう。そういう判断を国は簡単にはできないと思うからです。
ただし、何度も言うように長期の未来はわかりません。
現在も、予測していなかった「新型コロナウイルス」をきっかけに世の中は変わろうとしています。
迷っている方へのアドバイスとしては、余裕があれば固定にしておく、
変動の場合はギリギリの返済は避けて、変化に耐えられるような余裕を持たせた物件金額で購入することです。
住宅ローンといっても金融機関によって特徴が違いますので悩むのは当然ですよね。
住宅ローンを借りる金融機関は主に
メガバンク、地方銀行・信用金庫、フラット35、ネット銀行の4つがあります。
まずここでは2種類の金融機関を解説します。
◎メガバンク(都市銀行)
みんなが知っている銀行で、経営体力があるため安心です。金利も比較的安めに設定されていますし、
審査も早く、団体信用生命保険の種類なども豊富で、多くの方がメインで使われる金融機関です。
不動産会社とも提携していることが多いので、スムーズに融資が進む安心感があります。
【向いている人】
大企業勤務、公務員、年収の高い人、信用度の高い銀行で借りたい人、窓口が近くにほしい人など。
【向かない人】
審査に不安がある人、個人事業主、確定申告をする人、勤続年数の浅い人、
借入金額を伸ばしたい人、購入対象物件に少し難がある場合など。
◎地方銀行・信用金庫・農協など
地方銀行や信用金庫の魅力は小まわりが効く強さです。
メガバンクと比べると比較的難しい案件でもいろいろな角度から融資に対して
一所懸命に取り組んでくれる対応力があります。
書類上ではわからない側面も重視したり、人柄を重視したり、
個人事業主にも積極的に対応してくれます。
また、地方銀行や信用金庫特有の審査方法や住宅ローン商品もあったりします。
メガバンクではダメだった案件も承認が出たり、融資額がメガバンクより
高額を組めたりする場合もたくさんあります。ただし、メガバンクよりは経営体力は劣ります。
金利が少し上がる場合もあるでしょう。
【向いている人】
勤続年数が短い人、年収が高くない人、商売のお付き合いがある人、
個人事業主、審査に不安がある人、購入対象物件に少し難がある場合など。
【向かない人】
一番低金利で借りたい人、メガバンクの信用度を求める人など。
直接会って相談でき、確実性を求めるならば都市・地方銀行や信用金庫がおすすめ。
「フラット35」とは、国の機関である住宅金融支援機構が民間の金融機関(全国300以上)と
提携して提供している「長期固定金利の住宅ローン」です。
主な要件は住宅金融支援機構が定めていますが、ローンを提供する金融機関ごとに
手数料や提出書類が変わります。「フラット35」は民間の金融機関にはない独特な
審査基準を持っているので、その5つの特徴を紹介します。
①長期金利固定型の住宅ローンであること
文字通り、35年固定金利で借入できます。金利の変動に左右されないので、
毎月の返済額や総額が確定する安心感と共に、ライフプランを立てやすくなるというメリットがあります。
②建物に一定の審査基準が設定されている
一定以上の土地の広さや建築年数、土台・基礎の安全性、住宅の耐久性、耐震基準などの審査があり、
建築士に適合証明書を発行してもらう必要があります。マンションでは適合証明書不要の
「中古マンションらくらくフラット35」という制度を利用することもできます。
適合証明書を発行してもらう手間はありますが、その分、住宅の
安全性を確かめることもできるので、一長一短とも言えます。
③団体信用生命保険(団信)を外すことができる
民間の住宅ローンは健康上の都合で団信に入れない人は住宅ローンが借り入れできません。
そうなると住宅購入ができないという事態になるケースがほとんどです。
糖尿病や初期のがんなどでも住宅購入ができなくなってしまうのです。
その点「フラット35」は団信が必須ではありません。
健康上の理由で入れない場合など団信を外して借り入れができるのです。
あきらめていた方が「フラット」で購入できたケースは少なくありません。
④「中古住宅+リノベーション」には不向き
それらしい商品はあるのですが、実際には難しいでしょう。
ただし、業者が売主でリノベーション済み物件をそのまま買う場合には適合証明書さえ出れば使えます。
どちらかというと築浅物件を「フラット」で買って、現金で少しリフォームする
という方に向いていると思います。また、諸経費などを住宅ローンに含めることができないため、
正直、民間金融機関のほうが使い勝手がよいと私は感じます。
⑤審査基準が独特
民間の金融機関よりも勤続年数が短くても(1年以上)借りられたり、妻のパート収入も審査対象に
入れることができ夫婦の年収が合算しやすいなど、民間の審査基準とは異なる独自の基準を持っているので、
民間では無理だったけど「フラット」なら基準をクリアしたケースも多数あります。
【向いている人】
長期固定金利で借りたい人、団体信用生命保険に入れない人、
勤続年数が短い人、借入金額を伸ばしたい人など。
【向いてない人】
変動金利で毎月の支払額を抑えたい人、民間の金利優遇でも安い条件が出ている人、
購入希望物件が適合証明の合格基準にない人、リノベーション代金をローンに組み込みたい人など。
「フラット35」と「フラット35S」
「フラット35」の技術基準に加え、耐震性、省エネルギー性などに優れた住宅を取得する場合に、
一定期間「フラット35」の金利を引き下げてくれるのが「フラット35S」です。
フラット35Sには「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があります。
建物の技術基準をどこまで満たしているかによって利用できるプランが異なります。
「金利Aプラン」の金利は当初10年間「フラット35」の金利から0.25%引き下げ、
「金利Bプラン」の金利は当初5年間0.25%の引き下げになります
(ただし期間によっては、この引き下げ幅が0.5%に拡大されています)。
難しそうに見えて使いたがらない不動産会社もありますが、中古住宅にも「金利Bプラン」が
使えることがあります。
すごく大雑把に言うと、浴室と階段に手すりがあれば(リノベーションで取り付ける)使える
可能性がありますので、あきらめずに相談してみてください。
仮に手すりを実費で先に付けてもらっても金利が安くなればすぐその分をペイすることができると思いますし、
実際に手すりがあったほうが住む際に、子どものため、自身が年を取った時にも安全です。
このように、独自の審査基準を持つ「フラット35」。メガバンクでの審査が難しそうな場合は、
「フラット35」に仮審査を出しておいて安心感を持っておくのもいいでしょう。
「フラット35」で住宅購入をあきらめないで済むかもしれません。
ネット銀行の金利が異常に安いのは「人件費」を省いているから
というのは皆さんにも想像がつくと思います。
これが安さと危険との諸刃の剣になります。
不動産業者に支払う仲介手数料は、金融機関と司法書士、売主または
売主側業者との手続きの流れの管理や決済までの段取りの仕事が入っています。
これには不動産や金融の専門知識が必要です。
だからこそ手数料を払ってプロにその段取りを任せるのです。
実際に不動産会社の担当者は金融機関と連絡を取り合って不備がないように一つひとつ進めていきます。
失敗すると命取りになるからです。
一方、ネット銀行の多くは、金融機関と不動産担当者との連絡は取れません。
あくまでローンを借り入れる本人と金融機関のやり取りになります。
ということは不動産担当者がプロの知識で進めていた段取りを素人である自分ですることになります。
しかも、ネット上のみのやり取りで、見たことのない相手(しかも担当者さえわからない場合も多い)
と進めていくことになります。
仲介手数料は同じなのに、もし決済が遅れたり、ローンが下りなかったりすると
損害賠償になることもあり得ます。
ですのでプロとしておすすめはできません。
ただ知識のある方には、金利も安いですしメリットはあります。
また、知識のない方でも調べることが好きで、なおかつ新築で売主が業者の場合や、
万が一支払いが少し遅れてもトラブルになりそうにない場合はチャレンジしてみてもいいかと思います。
最近ではネット銀行でも提携ローンが増えていたり、メガバンクでもネット型の商品が登場したりして、
日々進化しています。
しかし、もうひとつ注意があります。通常、「ローンの事前審査」を契約前にしますが、
ネット銀行(メガバンクを含む)でのインターネット上での借入金額のシミュレーションは
「正式な事前審査」とは認められないケースが多く、自分では「事前審査OK」 と思い込んでいたけれど、
いざ買付申込をする際に失敗するケースがあるので十分ご注意ください。
【向いている人】
金利をとにかく安くしたい人、売主が業者で決済日に融通が利く人、
自分で情報を得て決済まで準備できる知識を持っている人、
パソコンのアップロードなどの作業が得意で自分で完結できる人など。
【向かない人】
中古住宅を仲介で購入する人、リノベーション費用を住宅ローンに組み込みたい人、
諸経費をローンに組み込みたい人、頭金のない人、審査に不安のある人、
住宅ローンや金融の知識がない人、パンコンのアップロードなどの作業が苦手な人など。
「35年もローン組むのか⋯⋯」。それを思うと気が重くなる。そんな方も多いですよね。
35年ローンを組めるのは実際には40歳くらいまでの方になります。
金融機関によりますが、住宅ローンの完済時の年齢は75歳(80歳の場合もある)が限度になります。
申し込み時の年齢を完済時年齢から引いた年数が借入の限度年数ということになります。
もちろん、35年も組まずに25年、15年でも、年収が多ければ組むことは可能です。
例えば、金利1%で2500万円のローンをボーナス払いなしで組むと年数によって右の図のようになります。
仮に15年の返済期間でも、無理をすれば返せるとしても、今は金利が低いので私ならば長く借ります。
その理由は大きく2つです。
①住宅ローンより安い借入金利はないので、余裕を持って借りておいて、
生活にゆとりを持たせるため。
②余裕があれば繰上げ返済で期間を短くできるため
(逆に、しんどくなったから期間を伸ばすということは基本できない)
家を買うのが目的ではありません。買った家での生活で家族が幸せになることが目的なはずです。
旅行や車や、子どもの教育費もあきらめて小遣い論争なんてことにならないようにしたいですね。
30歳で35年ローンを組めば、完済時は65歳。
定年の歳になりますので、退職金で返さなくて済みます。
現実には繰り上げ返済などを利用したり、途中で売却したりして、
最後まで完済する人はどれぐらいいるかは不明ですが、
理想は定年時には完済しているのがいいでしょう。
家を買うのが遅くなればなるほどローンの最終返済時の年齢は高齢になります。
ずっと収入があればいいですが、高齢で収入が減った時の返済はしんどいですよね。
では40代や50代になったら、家は買わないほうがいいかというとそんなことはありません。
賃貸住宅の場合は高齢になってもずっと払わなければなりませんし、
入居者全員が死ぬまで家賃を払わなければなりません。
ローンの場合はその点、主債務者に万が一のことがあればローンはなくなります。
将来を見据えた時、この違いは結構大きいと思います。
固定金利は、全期間固定や10年固定など、決められた期間の間は金利が固定され、
返済額も変わらいのが特徴です。
世の中の景気や政府の政策、金融機関の方針に影響されません。
一番のメリットは、毎月の返済額が変わらないので、安心して家計の計画ができることです。
デメリットは変動金利に比べて設定金利が高いことです。
金利が低いままずっと上がらなければ、結果として変動金利より総返済額が多くなります。
一方、変動金利は世の中の金利動向に合わせて借入金利が変動し、それに伴い返済額も変動します。
メリットは世の中の金利が上がらなければかなり安い金利で返済額も抑えられることです。
デメリットは金利が上がれば返済額が高額になっていくリスクがあることです。
どちらを選ぶかは正解がありません。未来はだれにもわからないからです。
固定と変動をミックスで借りられる金融機関もあります。
例えば2500万円の借入総額のうち、1000万円は固定、残りの1500万円は変動
という組み合わせです。金利が上がったら変動から繰上げ返済、
金利が低いままだったら固定から繰上げ返済するというように賢く調整することも可能です。
ファイナンシャルプランナーさんの書いた住宅ローンの本の多くには、
「借りるならば固定金利」と書いてあります。
その理由は、金利が上がった時に返済額が増えて苦しくなることを避けるためというものが多いです。
そして文字として残る書籍には安全な選択肢を書いておくほうがリスクがないということもあるでしょう。
「フラット35」などの政府系金融機関のローンは全期間固定で借りるのが通常です。
また「金利が低い時こそ、上がる可能性があるから固定金利で組む」逆に「金利が高い時は下がる可能性があるか
ら変動金利で組む」というのもセオリー的には理解できますよね。
どちらを選ぶか、新築と中古では少し違いがあるかもしれませんが、
「中古住宅+リノベーション」においては8割近くは変動金利で借りられているのが現実です。
なぜでしょうか?その答えは金利の推移にあります。
昭和の終わりから平成初期は金利が高く、住宅金融公庫(現「フラット35」)の5.5%を主軸に
ローンを組むのが主流でした。銀行の変動金利のほうが高かったからです。
しかし、それが大きく変わりました。65ページの図を見るとわかりますが、
かなり長期にわたって低金利の時代が続いています。
今では基準金利の2.475%からさらに優遇金利を上乗せして、
1%を切る0.65%などの実行金利が使われています。
そしてこの流れは簡単に変わりそうにないというのが変動金利で借りられる理由です。
ただし、未来はだれにも予測できません。
ですから、返済に余裕があって、心配な方は安心を優先して固定金利で借りる。
それ以外の方は変動金利で固定金利との返済差額を計算して、どこまで金利
が上がっても固定より得かを計算したうえで判断する必要があります。
簡単に以前のような金利には戻らないと考えると、私は変動金利でいいのではないかと思っています。
図29 変動金利と固定金利の割合
「民間住宅ローン利用者の実態調査(2021年4月調査)」
(住宅金融支援機構)によると、変動金利を選んだ人は全体の
68.1%。対して、全期間固定型は11.2%。
残りの20.7%が固定期間選択型(固定2年、3年、5年ど)
となっています。
同調査によると、2009年以降は変動金利がトップでしたが、
2017年頃からさらにその数値を伸ばしています。一方、全期
間固定型は、6〜7年前の3分の1程度にまで下がっています。
金利上昇リスクは常にあるので、
注意しましょう。
前述した通り、変動金利でも基本的にはいいと思います。
ただし、気をつけてほしいことがあります。
それは、変動金利で計算したほうが借入額が増えるという点です。
不動産会社は借入額の上限が高いほうが物件の幅が広がりますし、
高額の物件をすすめることができます。ここが注意点です。
借り入れできるからといって高額物件に誘導されないようにしましょう。
"無理のない返済額"と"借り入れできる額"は違いますので、
「借りられるということは銀行が返せると判断したから大丈夫ですよ」などという言葉にだまされないで、
家を購入した後の生活や未来を考えた上で返済額の上限を決めてください。
その際に、固定金利でも返済額を出してみるのもおすすめです。
おそらく固定で出した金額の返済は厳しい金額になるでしょう。
でも万が一金利が上がっていったら、その返済額が必要になる可能性があることも知っておきましょう。
そうすることで、変動金利で無理な返済計画を組むことを防止できます。
固定期間選択型には、2年固定、3年固定、5年固定、10年固定と、金融機関によって
たくさんの種類がありますが、これらは一定期間のみ金利を固定できる住宅ローン商品です。
選択した期間内は、金利・返済額は一律です。選択した期間が終了すると、
次の金利タイプを選択します。変動金利に変更することも、再度固定金利を選択することも可能です。
当初の固定期間が終了すれば、金利相場の影響を受けるため、返済額が増える可能性があります。
私がおすすめできない理由は、変動金利と違い、金利上昇に伴う返済額の上限が決まっていない点です。
また、結局、長期的な返済プランは立てにくく、短い期間であれば金利の上昇も考えにくいので、
あまりお得とは言えない形だと思います。
メリットとすれば、例えば家庭の事情(子どもの学費など)があって10年間は返済額を
確定しておきたい場合などは有効です。固定金利を選ぶなら、全期間固定の商品のほうが
長期にわたり返済が安定するのでそちらのほうがおすすめです。
図31 固定期間選択型は何のためにあるか?
このような考えの人が必要としています
・変動金利だと将来金利が上がりそうで不安
・全期間固定金利だと金利が高くて毎月の返済がしんどい
・全期間固定金利にして、今後金利が上がらなかったら損する感じがする
・学費などの出費の予定があるので、少なくとも10年間は返済額を確定しておきたい
・金利が動きそうなので5年後に選択できるようにしておきたい
こぼれ話
なんと私は約20年前、自宅を買う時に「5年固定」でローンを組みました。
たしか「5年固定」の金利が3.5%くらいで、その時の変動金利は2.65%、
全期間固定は4%を超えていたはずです。バブルの頃から不動産業に携わっ
ていた私は、変動金利の最高値8.5%という恐ろしい金利を見てきたため、
変動が怖かったのです。
また、全期間固定の金利が高かったので、選択できる「5年固定」にしました。
その5年後に再度「5年固定」を選択しました。
思惑とは裏腹に変動金利はどんどん安くなっていきました。
政府のマイナス金利政策などで超低金利時代が長く続くのです。
結局10年後に変動金利に借り換えをしました。毎月の返済額は2万円近く安くなりました。
妻から「偉そうに言っていたのに読み間違いですね」と笑われました。
そうです。プロの私も結果は失敗だったのですね。
最初から変動金利にしていればよかったのです。今だから言える結果論です。
金利の未来もわからないという教訓にしてください。
返済比率(返済負担率)とは、「年収に占める年間返済額の割合」のことです。
住宅ローンの審査で金融機関がチェックするポイントのひとつでもあります。
返済比率が基準を超えると返済負担が重くなり、返済が滞るリスクが高まるので、
融資が受けられなかったり、借入額を減らされたりします。
ではどれくらいが妥当なのでしょう。
右ページ上の表は借り入れの限度額を審査する時の基準です。
年収によって異なりますので、回答した20%〜25%下というのも
現実には年収や生活スタイルによって変わります。
例えば、次の返済比率と金額を見比べてください。
①月々8万円の返済ボーナス払い 年間返済額96万円
②月々12万円の済ボーナ払 間返済額144万円
それぞれの返済比率は以下の通りになります。
①返済比率25%の場合の年収 384万円
②同じく25%場合の年収 576万円
右ページ下の表を見ていただくと、30%になると結構しんどくなることがわかります。
バブル期には「40%内なら買いですよ」と売っていたので、今考えるととても恐ろしい話です。
何度も言いますが、無理な返済は避けましょう。不動産営業マンに「大丈夫。借入可能ですよ」と、
高額物件をすすめられても、安心できる返済計画を立てましょう。
不動産会社は、年収と自己資金だけを聞いて返済可能額を割り出し、
物件をすすめてくるところがまだ多いのが現状です。
初めて店舗に行ったその日に、案内をすすめてくることも多いです。
私の会社ではまず、住宅の賢い買い方を勉強していただいています。
そして次にするのがローンの事前審査です。
その後に物件案内になります。なぜならこれまでも書いてきた通り、
自分に合った予算を決めることがとても重要だからです。
そのために事前審査は必要です。
あらかじめ事前審査を受けておくメリットは次の2つです。
ひとつ目は、いくらの金利でどれくらいローンが組めるか?実際の返済はいくらにするか?
リフォーム費用は一緒に組めるか? 諸経費はローンに含めるか?などを
はっきりさせておくことができる点です。
2つ目は、買い付けを決める「購入申込書」を書く段階で
事前審査を受けていないと不利になる場合があるからです。
人気のある物件ほどほかの人と取り合いになる場面が出てきます。
つまり、売る側は買う人を選べる状態になると思ってください。
その時に「すでに金融機関で事前の融資承認を受けている人(事前審査をしている人)」と
「これから融資の審査を受けるので借りられるかどうかまだわからない人」の
どちらが売主にとって安心でしょうか? 当然準備のできた人ですよね。
段取りの悪い不動産会社だと、物件ばかり案内して、いざほしい物件を押さえにいく時に
のんびり審査をしたりします。人気のない物件ならそれでも買えますが、
賢いやり方とは思えませんし、先に審査してから申し込みしてくださいと断られる場合もあります。
もちろん自己資金が多く、大手企業に長く勤務しているなど、条件面で借り入れに
自信のある方は必ずしも必要ではない場合もありますが、
先にしておいてデメリットはありませんので準備できることは準備しておきましょう。
図33 事前審査とは
不動産会社を通じて、または自分で金融機関に
「審査が通るか」「いくら借りられるか」「金利はどれくらいか」などを簡易的に審査してもらえる。
提出するもの
・源泉徵収票
・免許証
・健康保険証
結果が出るまで
提出から1~3日程度
住宅ローンの主債務者(契約者)が急に亡くなったら、普通は返済できなくなります。
そんな時のために金融機関は団体信用生命保険(以下、団信)に加入してもらうことを
住宅ローンの借入条件に入れています。
団信とは、契約者が死亡または高度障害状態になった場合、
その後の返済が免除され、遺族に住宅を遺すことができるというものです。
金融機関側からすると、「病気で死ぬ可能性の高い人に長期の住宅ローンは貸せない」ということです。
ではがんになったりしたことのある人は、収入があっても住宅ローンが組めないのか?
そうです。組めないのです。がんだけではなく、糖尿病などでも引っかかる可能性があります。
ほとんどの金融機関が同じようなしくみを持っています。
この健康リスクは結構高いものになります。
私が若いうちに住宅購入をするようすすめる理由のひとつです。
高齢になればなるほど、返済期間が短くなることで返済額の負担が増え、
なおかつ、もし小さな病気でもしてしまうと住宅ローンを組みにくくなる可能性が高くなります。
そうなると一生賃貸住まいなんてことにもつながりかねません。
だからこそ健康な若いうちに住宅購入を検討しておくことをおすすめします。
ちなみにこの団信の保険料は基本的に住宅ローンに組み込まれていて別途かかりません(「フラット35」以外)。さらに、最近は死亡だけでなく、オプションで3大疾病や8大疾病に対応した商品もありますので
比較検討して有効に使いましょう。
3章 : 新築とは違う「中古住宅+リノベーション」にマッチした住宅ローンを選ぼう
まずは住宅ローンのしくみですが、ローンを組む際、金融機関は購入する物件に抵当権を付けます。
債務者(お金を借りる側)が万が一返済できなくなった時のために
土地や建物を担保とする権利が抵当権です。
新築住宅の場合は、建てられた直後で資産価値はまったく下がっていないため、
物件価格との間に差はありません。
購入価格が4000万円の物件はそのまま4000万円分の資産価値を評価して全額を融資してくれます。
一方、中古住宅の場合は、築年数や物件の状態によって資産価値が変動します。
築年数が経過すると日本では建物の価値が下がっていくので、
担保としての評価が下がって借入限度額も下がってしまうことがあります。
物件価格が4000万円であっても、金融機関がその物件を3000万円分の担保評価しかないと判断した場合、
融資は3000万円までしか受けられなくなることがあります。
ここまでがよくある解説です。多くの不動産関係者やファイナンシャルプランナーが解説しています。
しかし、現状は大きく違います。
「中古住宅+リノベーション」のローンは、新築しか売ったことのない不動産営業マンなどは
知らないことも多いのです。
一番大きな違いは「リフォーム代金を住宅ローンに含む借り方」をする場合です。
先ほどの担保価値の話では、中古住宅の場合、借入額は少なくなってしまいますが、
「中古住宅+リノベーション」をたくさん扱っている会社ではその分野に強い
金融機関と提携を組んでいることが多く、次のようなこともよくあります。
「物件金額」1800万円+リベーション金額1000万円=借入金額2800万円
そうです。物件金額以上の住宅ローン金額を借入できているのです。
「中古住宅+リノベーション」では当然、物件の購入金額に加え
リノベーションの代金が発生するため、購入金額以上のローンが必要になります。
専門家でもそれを知らない場合、中古住宅の購入後に無担保のリフォームローンを
使うことをすすめる人がいます。私からするとその組み方は失敗です。
「リフォームは購入後に考える」。
繰り返し伝えますが、それが失敗につながりやすいのです。
不動産担当者は家を買ってもらえれば手数料が入って儲けが出て終わりので、
買った後のことまで考えないことが多いのです。
「後はリフォーム屋さんと打ち合わせください」という感じで手を引きます。
「住宅ローンにリフォームの費用も含んで借りる」理由は
ここまで何度も書いてきましたが、再度説明します。
①金利の差:住宅ローンは1%を切る金利。リフォームローンは安くても約2%。
②借入可能年数の差:住宅ローンは最長35年。リフォームローンは最長15年程度。
③借りられない問題:住宅ローンを組んだ直後は、返済比率や返済額が多くなりすぎて、
そもそも新しいローン借入ができないことがよく起こる。
金融機関によって違いはありますが、上記が主な理由です。
リフォームローンは長年住んだ家が古くなってリフォームする時に使うためのローンなので、
年数も短く金利も住宅ローンに比べると不利になります。
しかも、住宅ローンを組んだばかりで、そもそも借入できないことが多くあります。
そうなるとリフォームは手持ち現金でするしかなくなります。
家を買うための諸経費などで手持ちの現金が減った上にこれから生活する貯蓄もないと不安になります。
よほど現金の貯金がある場合はいいですが、若い世帯ならば手持ち現金は少ないし、
ここで使いたくないでしょう。
しかし、買う前にリフォーム費用をしっかり見積もっていないと、思ったより予算が増える場合もあります。
エアコンや照明、カーテンなどどんどん費用がかさみ、夫婦げんかがはじまり、
せっかくの楽しい住宅購入がつらくなるという失敗に陥りやすいのです。
これが私が「賢い買い方が重要」と唱えている理由です。
実はわずか10年前までは中古住宅購入にリノベーション費用を含めて
低金利の住宅ローン1本で借りることは非常に難しかったのです。
私の経験上、その頃は扱ってくれる金融機関が少なく、とても苦労しました。
現在もまだ「中古住宅+リノベーション」に対しては担保評価が厳しい金融機関もあります。
大手のメガバンクと呼ばれるところは、今でもこの傾向が強いです。
メガバンクの中でも積極的に取り組んでくれている金融機関もありますが、
どちらかというと地銀クラスのほうが融通が利きやすくなっています。
またJA(農協系金融機関)なども非常に使いやすい住宅ローンで対応してくれます。
これは全国の地方によって異なりますので、ここですべては紹介できませんが、
「中古住宅+リノベーション」に強い不動産会社に相談すれば必ず提携している
金融機関を紹介してくれるのでご安心ください。
自分でインターネットで住宅ローンを探すのは新築なら簡単ですが、
「中古住宅+リノベーション」となるとおすすめできません。
年々「中古住宅+リノベーション」への需要が高まり、それに対応する
金融機関や住宅ローン商品が増えていっていることは確かです。
ですが、まだまだ金融機関も手探り状態なところもあり、表に情報が出にくく、
インターネットなどで調べてもリアルな情報をつかめない傾向にあります。
でも、あきらめないでください。賢い住宅購入において、住宅口ーンを
いかに有利なものにするかは重要なファクターです。
不動産会社を選ぶ際にもこの住宅ローンに強いかどうかに注目しながら、
いくつかの会社をまわってみて相談してみてください。役に立つパートナーがわかると思います。
図37
金融機関別ひと言アドバイス
・大手都市銀行
優良勤務先・自己資金多め・築浅優良物件ならおすすめ。
安心で知名度も高いが、制約も多いので比較検討が必要。
・地方銀行
銀行によるが対象物件も融通が利く場合が多い。
自己資金が少なくても対応してくれるところも多く、活用しやすい。
・農協系.商工中金·信用金庫・郵貯など
人・物件共に、かなり柔軟に対応してくれるケースが多く、利用価値は大きい。
得意分野がそれぞれ異なるので不動産会社と相談して比較検討してみよう。
前項で「中古住宅+リノベーションに強い金融機関を選ぶことが大切」というお話をしました。
もうひとつ大事なコツをお話しします。
それは「リノベーション費用(見積額)を知るタイミング」です。
そのベストなタイミングを右図に示します。
図の通り、希望物件を現地見学する際、リノベーションの希望や
その建物の直さなくてはいけない箇所の相談や調査に、建築に詳しい人
(リフォーム担当者・建築士など)と同席して行ないます。
そして購入の決断の前に概算でいいのでリノベーション費用(見積額)を出してもらい、
その金額(できれば少し余裕を持たせて多めの金額)を物件金額と合わせた総額で、
不動産担当者に資金計画を作成してもらいましょう。
その総額と諸経費を見て、自分の返済可能額や予算に合っていれば
購入の決断(購入の申し込み)をしてください。
そして、物件の契約→住宅ローンの金銭消費貸借契約(ローン借入の本契約)までの
期間に詳しいリノベーションの打ち合わせやショールームに行って実物の設備を見たり、
建材や設備のグレードなどを決めて最終の費用(見積額)を決め、
住宅ローンの借入額を最終決定するのがベストです。
物件の購入申し込み時に設備やグレードなどすべてがきっちりと決まっていれば
詳細な見積もりが出て一番いいのですが、現実にはほぼ不可能です。
なぜなら人気のある不動産物件ほど、現地を見に行ってから購入の決断までの時間がないからです。
見に行ったその日に決断しないとほかの人に物件を取られることも多々あります。
本来ならば、高額のリノベーションの見積もりを正確に出すには、
何度も打ち合わせをしたりしながら数週間から数ヶ月かかります。
ここでは、「1日、2日では概算しか出ない」と割り切りが必要です。
しかし、根拠のある概算見積がないと買った後から想像以上な費用が出ることになり、
失敗しやすいので、このタイミングの重要性をきちんと認識しておいてくださいね。
何度も繰り返しますが、大事なので角度を変えてお伝えします。
現状これが、一番起こる失敗しやすいパターンです。
でも、事実として今まで普通にこういう不動産会社のセリフがまかり通っていたのが現実です。
なぜ失敗するのか、繰り返しになりますが、大事なので説明します。
まず予算総額が不確定です。中古住宅はリノベーション費用も諸費用も全部含めて
はじめて「住宅購入の予算」になります。家の物件代金だけを考えて契約してしまうと、
後で大きく予算が変わるケースを数えきれないほど見てきました。
予算が足りなくなっても、後からローンを増額できません。これが地獄になります。
現金で妥協してリフォームするか?金利の高いローンをさらに組むか?
この選択しかなくなってしまうのです。
だからこそ、購入前にリフォームの費用を知っておく必要があります。
そして「物件代金+リノベーション費用」の合計で住宅口ーンを借りるのが得策です。
これは本書でも何度も話していますが、ではなぜ、今も後を絶たないのかと言いますと、
「いい中古物件ほど売れるのが早いから」という理由があります。
不動産会社も相場に合った人気物件ほど高飛車になり、
「時間がかかるんだったらほかに売りますよ」と言われたりします。
お客様も賢い買い方を知らないと、この言葉に流されてしまうのです。
ではどうすればクリアできるでしょうか。その答えは明確です。
お客様が物件を見に行く時にはしっかりと勉強したうえで
「買う準備」ができてからにすることが重要です。
「買う準備」とは、「明確な自分の予算を知っている」、「賢い買い方を知っている」、
そして「物件について、建物の状態やリフォーム費用の見積もりができる専門家パートナーがいる」ことです。
図39 失敗しない3大要素
●自分の予算を知っている
・借りられる額ではなく、無理なく返せる額を理解している
・事前ローン審査で金利や条件がわかっている
●賢い買い方を知っている
・物件の探し方や不動産売買のしくみを知っている
・「中古住宅+リノベーション」特有のローンの組み方を知っている
●安心できる専門家パートナーがいる
・建物の状態やリノベーション相談など、一緒に現場を見てくれる人がいる
・不動産担当と建築のパートナーが連携できる
この3つの条件が揃ってはじめて、物件の見学をはじめよう!
それまでは、上記要素の勉強と並行して物件資料を見ながら相場観を養っておこう。
「頭金を貯める前に買ったほうがお得」と前述しました。
「じゃあ諸経費もローンに一緒に含められるのですか?」と聞きたくなりますよね。
はい。諸経費分も借りられる金融機関が増えています。
ただし、金利が別金利になったり、全体の住宅ローン金利が少し上がったりすることもありますので、
注意が必要です。金融機関によってかなり異なります。
家を買う時の現金とローンの関係で多いケースは、次のパターンです。
①全額「現金」。理想です。しかし、ほぼいません。
②頭金2割+諸経費分現金。残りをローン。
③諸経費分現金。物件金額を住宅ローン。
④諸経費・物件金額共に全額住宅ローン。
金利を考えると、現金の割合が多いに超したことはありません。
しかし、家を買う方の多くが若い世代が多いことを考えると、現金を数百万も貯めている方は
実際にはなかなかいません。家賃を払いながら、住宅資金を貯めるのは大変です。
もし仮に、200万〜300万円持っていたとしても、全額住宅購入のために使ってしまって、
手元に現金がなくなってしまうと日々の生活が心配ですよね。
私の経験上、現金はできるだけ手元に置いておいて、金利の安い今だからこそ、
住宅ローンでまかなうことが子育て世代にはおすすめです。
ただ、全額借り入れの場合は金融機関によって条件が異なりますので、担当者と相談の上、
有利な条件での借り入れをしてくださいね。
中古住宅で売主が業者以外の場合は、ネット銀行の利用はやめたほうが無難です。
なぜなら、決済(お金の精算)のタイミングが難しいからです。
プロでも決済にはかなりの注意を払います。
間違うと、関係者全員にかなりの迷惑をかけることになります。
新築はお金を払う相手が不動産業者になることが多いので、そことのやり取りだけで済むことが多いです。
ですが、中古物件は基本的に「同時決済」を原則として、決済日にローンを実行
金融機関に関係者が一堂に集まります。ネット銀行の融資の場合は、
この決済する場所さえも自分で準備しないといけない場合が多いです。
「売主」「売主側業者(不動産会社)」「売主側司法書士」「買主」「買主側業者(不動産会)」
「主側司法書士」「金融機関担当者」(業者と司法書士は片方の場合もあります)。
金融機関で個室を借りて全員で進めることになるのが一般的です。
なぜこんなに集まるのかというと「お金」と「不動産物件の引き渡し」を同時にしないと
いけないからです。司法書士が本人確認や登記の書類を確認し、引き渡し準備が整ったことを確認すると、
すぐ金融機関にGOサインを出し、準備していた融資が実行されます。
そして、実行された融資金額から売主に残金を支払ったり、手数料や諸経費の精算をします。
ポイントはすぐ融資が実行されるように準備することや、実際にすぐ実行されることです。
ネット銀行の怖さはこのすべての準備を素人が不動産担当者もわからないまま進めることと、
当日の確認がテレビ電話になったり、実行に時間がかかったりした時に不安要素があり、
集まった人たちに迷惑がかかると立場がなくります。
リフォーム費用や諸経費をローンに含む場合はさらに複雑になりますので、
中古住宅を購入する際はネット銀行はやめておいたほうがいいでしょう。
しかし、任せっきりではベストにならないケースもありますので注意が必要です。
再度お伝えします。「決めるのはあなたです」。
そして、「ローンを返すのも住むのもあなたです」。
ですから納得がいくまで情報を集めて、決断しましょう。
不動産営業はそのためのパートナーです。
そしてスキルや経験に差がある点も当然のことだと理解しましょう。
金利はもちろん、団体信用生命保険の種類や返済の仕方など、金融機関によって条件が違います。
自分も調べてみて担当者に相談しましょう。
気をつけてほしいのはインターネットなどで自分で調べた時、
表面上の条件につられて本末転倒にならないことです。
不動産担当者はやはりプロです。あなたの条件や物件、リフォームの有無などを
トータルで考えてベストな金融機関を提案してくれるでしょう。
任せたほうが、ローン特約や決済の手続きなども責任を持って対応してくれるので安心できます。
そのために仲介手数料を支払うわけですから、相談しながら進めましょう。
ネット銀行が「中古住宅+リノベーション」に向かないことは前述しました。
担当者がいないネット対応の銀行では中古住宅の購入は不向きです。
なおかつリノベーション費用を組み込んだローンには対応できないところがほとんどです。
不動産担当者と金融機関の担当者が直接打ち合わせができるところでないと
リスクが大きすぎると思ってください。
また都市銀行では一部を除いて、「物件価格に対してリノベーション費用は何%まで」
とか「リフォーム費用は〇〇万円まで」などと決めているところや
「リフォーム費用分は金利が上がる」などの条件を出す金融機関もあります。
もともと新築の融資ばかりしていたところは今でもまだ「中古住宅+リノベーション」のローンが
整っておらず、物件の担保評価が厳しかったり、頭金や諸経費など
手持ち資金があることを条件としているところがほとんどです。
一方で、「中古住宅+リノベーション」のローンに力を入れている金融機関もあります。
地方銀行やJA(農協)、ろうきんといった金融機関は「中古住宅+リノベーション」購入時に
とても活躍してくれます。
ただし、これらの「中古住宅+リノベーション」に適した住宅ローンの情報は
表に出ていないことが多いので、インターネットでも探しにくいのが現状です。
ネットで検索すると、実際には使いにくい「フラット35」関係のリフォーム一体ローンが出てきて、
本当に「中古住宅+リノベーション」に強い金融機関の情報は見つけられません。
ですので、これらのローン情報のカギになるのはやはり不動産会社です。
「中古住宅+リノベーション」に強い不動産会社なら必ず、
そういう金融機関と提携した情報を持っています。
担当者と相談しながら、金融機関を選択していきましょう。
地域によって、または不動産会社によっては金融機関と提携していたり、
その会社の得意不得意があるので、相談をしながら不動産会社を見極める重要な要素として検討し、
本当に「中古住宅+リノベーション」向きの住宅ローンに対して
スムーズに誘導してくれそうかを判断してみましょう。
インターネットでもローンの比較がもっと簡単にできるようになれば業者に頼らず
情報が得られるかもしれませんが、まだ現状では無理です。
ただ、どんどんと「中古住宅+リノベーション」で使いやすい専用のローンが出てきているので、
最新情報を探してみましょう。
住宅ローンを組む場合は基本的に団体信用生命保険(以下:団信)に加入しないといけません。
逆に言うと、団信に入れないと年収の条件をクリアしても住宅ローンが組めません。
すなわち「現金でないと家が買えない人」になってしまいます。
団信とは簡単に言うと、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害の状態になった時に、
残りの住宅ローンが弁済されるしくみです。
言い方は悪いですが「死亡したらローンはチャラ」のしくみです。
残された家族に負担がかかりません。
では、団信に入れないのはどんな人でしょうか?
簡単に言うと健康でない人は入れません。
加入時に病歴などの告知義務がありますので、引っかかると入れません。
生命保険なので当然かもしれませんね。
中年になると糖尿病や肝炎、肝硬変などが増えてくるので要注意です。
これを私は「健康リスク」と呼んでいます。
若いうちに住宅を買う理由のひとつでもあります。
病気等で団信に入れない場合は住宅ローンを組むのは困難になります。
でもあきらめないでください。使えるローンがあります。
それは住宅金融支援機構の「フラット35」です。
「フラット35」は団信への加入の有無が選択できます。
団信に入らなくても他の条件がクリアできれば住宅ローンが使えますので検討してみてください。
また、民間の金融機関でも「ワイド団信」という一般の基準よりも審査基準が緩和された
団信プランもありますので、相談してみてください。
住宅ローンを組む人のほとんどが付帯して加入するものが、団体信用生命保険と説明してきました。
でもこの団信もいろいろな種類が増えてきました。その種類の代表的なものが下記の3つです。
①通常の団体信用生命保険
②三大疾病特約付き団体信用生命保険
③八大疾病特約付き団体信用生命保険
①は通常の団信で被保険者(ローン契約者)が死亡もしくは高度障害状態になった時に、
保険金によって残債が完済されます。
高度障害状態とは、病気や怪我等により身体機能が重度に低下している状態のことを言います。
細かな基準は金融機関によって決められています。
費用的には通常の団信は住宅ローンに含まれているため、金利の上乗せはありません。
②は①通常の団信に特約が付いてきます。
「死亡もしくは高度障害状態」に加え、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)によって
所定の状態になった場合にも保険金が出るのです。
がんが増えているので使える場合も多くなっているでしょう。
費用的には金融機関によって異なりますが、通常の団信に金利を0.25%程度上乗せ
になることが多いです。
③は①+②に加えてさらに5つの重度慢性疾患(高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎)
によって所定の状態になった場合にも、保険金が出て残債が完済されます。
費用的にはこれも金融機関によって異なりますが、通常の団信に金利を0.3%程度上乗せになることが多いです。
住宅ローンの返済が苦しくなるのは死亡や高度障害状態だけではありません。
安心できる保険に入っておくのもひとつの考えです。
ただし、無駄にならないように現在加入している生命保険なども確認して、選択してください。
年齢が高くなればなるほど、健康状態は劣化するのが普通なので、
「団信に入れない=住宅が買えない」というリスクがありますので、
できるだけ若いうちに住宅購入するのが保険加入という面でも安心です。
ミックスローンとは、固定金利と変動金利という異なる金利タイプや返済期間を
組み合わせることで、金利変動リスクを低減したり、固定金利だけでローンを組むより
低い金利で借り入れすることができるローンです。
ミックスローンのメリットは大きく次の2つです。
①固定金利1本だけより返済負担を抑えながら、金利上昇のを抑えられる。
②返済年数を変えることにより特定の時期に片方のローンを完済できる。
例えば3000万円のローンを借りる場合、
A:固定金利1本で3000万円
B:変動金利1本で3000万円
C:ミックスローンで、固定金利1500万円・変動金利 1500万円の2本
この3パターンそれぞれのメリット・デメリットは次の通りです。
Aは金利の上昇リスクはないけれど、変動に比べると返済負担が多い。
Bは返済負担は少ないけれど、将来金利が上昇すると不安。
そこで、Cのミックスローンにした場合は変動金利を混ぜることにより、
固定金利より低金利であることが一般的なため、
固定金利のみで借りた住宅ローンよりも利息を軽減できます。
もし金利が上昇しそうな時は変動金利のローンから繰り上げ返済していくことが可能なのも魅力です。
今後の金利動向を見据えつつ、上手に活用しましょう。
ミックスローンで変動金利と固定金利を組み合わせることで、変動金利のお得感を味わいつつ、
固定金利の安心感を組み合わせて金利上昇リスクを抑えることができます。
「固定にしたいけど、金利が高い」「変動にしてしまうのも、将来金利が上がったら怖い」、
そんな方に少しでも安心を得られるのがミックスローンの大きなメリットなのです。
また、もうひとつのパターンである返済期間を変えて2本持つミックスローンのメリットは、
例えば1本を35年返済、もう1本を15年返済など、ある一定期間から子どもの学費の都合などに
合わせた期限付きの返済計画を建てることができる点です。
返済額に余裕がある場合は検討してみても面白いと思います。
ローンを2本にすることで金融機関の事務手数料等が数万円程度増えるデメリットはありますが、
固定を混ぜたり、返済期間に変化をつけることで、金利上昇時へのリスク回避もできるので、
月々の返済額が許容範囲なら、それ以上の大きなメリットになる場合があります。
住宅ローンの返済中に、金銭面で余裕が出てきたら、「一部でも繰り上げ返済して、
ローンの負担を減らしたい」、そう考える方も多くいるでしょう。
「住宅ローン控除」で返ってきた金額を貯めておいて繰り上げ返済にあてるというのもおすすめです。
繰り上げ返済とは、元金の一部または全部を当初の予定よりも前倒しで返済することです。
これにより、繰り上げ返済した元金部分に対応する利息を支払わずに済みます。
繰り上げ返済の方法には大きく2つのタイプがあります。
しっかりと特徴を押さえておきましょう。
①返済期間短縮型
・毎月の返済額は変化なく同じ
・返済期間が当初より短くなり、利息軽減効果が高い
②返済額軽減型
・毎月の返済額を減らすことができる
・返済期間は変わらないので、利息軽減効果が低い
総返済額を減らすなら①の期間短縮型のほうが効果は大きいです。
ただ、返済額軽減型は毎月の支払いが減るため、繰り上げ返済後すぐに家計改善の効果が出ます。
将来設計などを考慮の上、選択しましょう。
もうひとつ知っておいてほしいことがあります。どの金融機関の住宅ローンも繰り上げ返済はできます。
しかし、繰り上げ返済手数料がかかる金融機関、繰り上げ返済の最低限度額が定められている
金融機関もあります。つまり、繰り上げ返済がしやすい金融機関としにくい金融機関があるということです。
これも借りる前に確認しておくことをおすすめします。「繰り上げ返済手数料0円」で
「繰上返済金額に条件なし」など手軽に繰り上げ返済が可能な金融機関もあるので、調べてみましょう。
4章 : 自分に合ったローンで差をつける、ケース別おすすめテクニック
住宅ローンの返済は「毎月払い」と「ボーナス払い」が併用できるようになっています。
どう変わるかシミュレーションしてみましょう(右ぺージ表)。
借入額は同額の3000万円、返済期間は35年、金利はわかりやすいように1%にします。
総支払額はボーナス併用払いのほうが約3万円多くなりますが、さほど変わらないと言えます。
変わるのは毎月の返済額です。ボーナス併用のメリットは毎月の返済が安く抑えられることですが、
しかし危険ですので、私は可能な限り月払いのみでボーナス払いはゼロにすることを推奨しています。
理由は、ボーナスは上下することです。また場合によっては出ないこともありますので、
住居費のあてにしないで、ボーナスが出たら旅行に行くなり、学費に使うなり、
生活にゆとりを持たせたほうがいいと考えるからです。
気をつけないといけないのは営業マンが月返済を安く見せるために
ボーナス払いを併用して資金計算を組んでくる場合です。
「ほら、今の家賃と変わらずに買えますよ!」と月の支払いを安くして比べてくる誘惑です。
何を隠そうバブルが崩壊するまでは基本的にボーナス払いは
上限MAXの借入額の50%まで入れるのが常識でした。
そしてローン破綻したほとんどの方がボーナス払いに苦しんだのです。
返済方法の違いによって、毎月支払う金額の内訳が違います。
主なメリット・デメリットを説明します。
・元利均等払い
元金と借入した金額に対して発生する利息を合わせて均等に返済していく返済方法で
メリットは毎月の返済額が常に同じ金額になります。
デメリットは総支払額が元金均等払いより多くなる点です。
・元金均等払い
元金のみを均等に支払いする返済方法で、メリットは総支払額が元利均等に比べて少なくなります。
デメリットは毎月の返済額が元利均等と比べると当初は多くなり、
そのために融資の限度額が元利均等より少なくなる可能性もあることです。
総支払額で元金均等のほうが安いのに、ほとんどの人は元利均等払いを選ぶことに
疑問を持つかもしれませんが、やはり毎月一定額の支払いの方が将来の家計収支が立てやすいのと、
元金均等より融資金額が多くなるのが一番の理由でしょう。
ただ、総支払額を考えると返済に余裕がある方は元金均等でも大丈夫だと思います。
金融機関によっては元金均等払いの返済方法が選べない場合もありますので、担当者に相談して選択しましょう。
金融機関にとって住宅ローンを一番借りてほしい人たちです。
金融機関からしてみれば、住宅ローンというのはかなり長期にわたる商品です。
借入本人が仕事を頑張っていたとしても、勤務先が潰れたり、
安定していないと返済できなくなる可能性が高くなりますよね。
ですから、大企業にお勤めの方や公務員は大歓迎されます。
お金を持っていそうな個人事業の社長より芸能人より優遇されます。
ですから遠慮なく最優遇金利やいい条件を金融機関から引き出してください。
もちろん不動産会社の担当も同じ感覚なので、親身になってくれるはずです。
しかし、中には面倒くさがって複数の金融機関を当たらなかったり
自己都合で特定の金融機関に紹介して進めてしまう場合もあります。
とはいってもプロに任せるのが楽ですので、担当者の意見をまずは聞いて、疑問を感じたら、
自分でも団体信用生命保険の条件も含めて、最もいい条件を探して相談してみましょう。
図50 一番お得に借りられるケース
住宅ローンの審査に通りやすい人の特徴
・勤務先がしっかりしている
・勤務先が大手企業、公務員ならさらによい
・勤続年数が長い
・年齢が若い
・年収が高い
・年収における総返済負担率が低い
・健康である
・信用情報に問題がない
優遇金利とは
各金融機関が設定している金利の割合
例
例
店頭金利
2.475%
(定価のようなもの)
優遇金利
1.8〜2.0%
(割引のようなもの)
実行金利
0.475%
(実際の金利)
お得!
住宅ローンは前述の通り長期にわたるローンなので、金融機関からすると
勤務先が倒産するなどのリスクを避けたいと同時に、会社を退社するリスクも考えなければなりません。
ですから単純に長期で同じ会社に勤めている方を好みます。
ただ、日本も終身雇用制度の昭和の時代から変化してきていますので、
転職したばかりだから絶対にローンが借入できないということはありません。
昔は勤続3年以上でなければ借り入れは難しかったのですが、
今は勤続1年以上で審査対象には入ると思っていただいていいと思います。
ただし、審査の基本は所得の証明書なので、その年収が今の会社のものでなく、
以前の会社のものとなる場合は審査しにくくなります。
少なくとも現在勤めている会社の収入証明書(毎月の給与証明書など)が取れれば、
1年丸々なくても、毎月の給料明細から収入が予測できて審査が通る場合もあります。
不動産会社の担当者に相談してみましょう。
しかし、基本的には3年以上(最低1年以上)の勤続年数はほしいところなので、
もし転職を考えているならば、家族とタイミング相談し、住宅購入しておいたほうがいいと思ったら、
購入してから転職や独立をしたほうがいいと思います。
自営業者や職人など、自分で確定申告をしている人の場合の住宅ローン借入は
公務員や給与所得者に比べると、同条件で借り入れすることが困難な場合があります。
まずは、確定申告している金額によります。たくさん確定申告されている場合は
給与所得者と同じように年収に応じて借入額を決めていけるでしょう。
ではなぜ、自営業者の場合は借り入れがしにくくなるのでしょうか?
それは実際の経営の中で、自分の給料を低く申告している場合が多いためです。
税金や経営の理由で申告額を低くしている人には見た目の生活水準と申告額に乖離がある人もいます。
キャッシュを貯め込んでいる人は、現金でできるだけ多く頭金を入れて購入できるパターンもあります。
高い家賃を払っているので、早く購入したいけど
確定申告の収入額が低くて思ったような額のローンが組めないという人が多いのが現状です。
ではどうすればローンを組みやすくできるでしょうか。次のパターンに分かれます。
①確定申告の収入額を上げる
2,3年かけて上げていく場合や修正申告して上げる場合などがあります
②実際の収入が証明できるような場合や資産がある場合は、個別案件で対応してもらう
まずは自分の取引先の金融機関に当たってみることをおすすめします。金利が変わる場合もあります。
実際にはローンを払っていけるであろう人でも、借り入れの段階で
困ってしまうケースもたくさんあり、よく相談に来られます。
金融機関によって同じ人でも可と不可が分かれますので、諦めずに不動産担当者に相談して探してみましょう。
今や共働きがほとんどと言ってもいいくらい、標準的な世帯の形になってきました。
住宅ローンの組み方にも共働き世帯向きの借り入れの仕方があります。
そのひとつ、ペアローンとは2人で2本の住宅ローンを組み、
お互いが連帯保証人になる住宅ローン商品です。
多くの民間金融機関で取り扱っているので便利です。
ペアローンのメリットは、収入に合わせてそれぞれが組むことで、
合わせると多くの金額を借入できるということと、住宅ローン控除を2人それぞれ使えること。
また団体信用生命保険にそれぞれ加入するので、2人のうちどちらが亡くなっても
その分は保険適用になります。
逆に言うと、もし夫が亡くなった場合、妻の借り入れ分はローンが残ることになります。
一方、契約が2本になるので、諸経費(印紙代や事務手数料な
ど)が2倍かかるのがデメリットです。ただ、この諸経費は数万円
程度にとどまりますので、全体を見て選択することが必要です。
出産や育児なども見据えて、2人が長期にわたり、収入を確保できるような場合は
メリットがあると思われるローンの方法です。
せっかく共働きで収入がそれぞれにあるのに、
どちらか片方の単独ローンにする意味があるんですか? と思われる方もいると思います。
もちろんペアローンや収入合算をして借入額を増やすという選択は
購入物件の価格次第でアリだと思います。
ただ、どちらか一方が出産や子育てなどで仕事を離れる予定があるような場合は、
その間の収入源も考えて住宅ローンを組んでほしいと思います。
長期間仕事から離れることが考えられる場合は、そもそも収入合算しないと買えない金額の
物件を買うべきかも考えてほしいと思います。
一方の単独ローンなら、万が一債務者が死亡するようなことがあっても
団信により保険で返済がまかなえるので債務はなくなり安心です。
収入合算できるような場合、多くの不動産業者はそれを利用した高額の物件をすすめてくるでしょう。
家のよさだけに目を奪われず、その後の楽しい生活を予測して物件を選んでほしいので、
あえて共働き世帯のローンの組み方のひとつとして書きました。
住宅ローン控除や団信の金額に届かない場合、夫婦2人の収入を合算して借入額を増やすことができます。
また、あくまでローンの契約はペアローンと違い1本なので、諸経費もひとつ分で済みます。
連帯保証人は主債務者が返済できない場合には返済義務が発生します。
デメリットとしては住宅ローン控除や団体信用生命保険の保障などは主債務者ひとりに限られることです。
このローンの形がよく使われるパターンとして、夫の前年度の収入だけでは
少し希望借入額に届かないような場合に、妻の収入を合算して借入額をクリアする場合です。
夫婦2人がずっと働き続けるイメージの世帯はペアローンのほうが合っていると思いますが、
将来は妻が仕事を離れる予定などがある場合にも利用されるといいかもしれません。
これまで「単身者の住宅ローン借り入れは難しい」と言われてきました。
特に将来、妊娠・出産で働けない時期が出る可能性を持つ、
若い独身女性の住宅ローンは審査が厳しいと感じることがありました。
確かに金融機関側から見れば、もしもの時に補えるパートナーがいるのと
単身者では返済のリスクが違うので、このような状況だったと言えます。
でもご安心ください。
今の時代は男性も女性も独身の方が増えていますし、これからもっと
シングル生活を楽しむ人が増えていくと予想されます。
ですから金融機関も単身者のローンに対応してきていますし、
中には女性限定の団信保障や特典をつけている女性向けローン商品を出している金融機関も出てきています。
独身の女性と都会の「中古マンション+リノベーション」の相性は抜群です。
単価の高い都会だからこそ、新築での無理なローンを組まずに購入金額を落として設定し、
中古物件を自分好みにリノベーションできる住まいが人気です。
金融機関の審査も、「独身かどうか」ではなく、一番大事な点は「返済できるかどうか」です。
そのポイントは次の通りです。
①借入希望金額と年収のバランス(無理のない返済負担率での計画)
②勤続年数と返済期間(できれば3年以上の勤続年数・年齢を考慮した返済年数の設定)
自己資金の有無及び金額(諸経費や頭金を自己資金で出せるかどうかなど)
単身世帯の場合、苦しくなった時にパートナーに頼れないので、
夫婦世帯以上に「計画的に返済していけるか」をよくシミュレーションすることが重要になってきます。
今、若い世帯でDIYをしてセルフリノベーションをするのが流行っています。
費用を抑えることができ、かつ自分でつくることの楽しさを得られ、
知識・技術の習得ができる満足感がDIYのメリットだと思います。
ローンや買い方について気をつける部分は次の通りです。
①DIYの材料費や人件費はローンには組めないので現金が必要
「費用を抑えるため」のDIYだと思いますが、自分でやる工事が
増えれば増えるほど、意外と材料費などがかかります。
リノベーションを業者に頼む場合は住宅ローンにその費用を組み込めますが、
DIY費用はローンに組み込めません。ですから現金が必要になります。
住宅購入の際には諸経費や頭金などで現金が出ていくので、貯金がたくさんある方は大丈夫ですが、
30代では貯金がなくなってしまう方もいるかもしれません。
費やす時間と現金で支払う材料費をよく考えて、プロと相談することをおすすめします。
②自分でできることとプロに頼むことの区別をはっきりする
DIYでは自分で「できること」と「できないこと」をしっかり把握することが大切です。
原則的に電気・ガス・給水などの設備工事には資格が必要です。
壁や床の下地工事や構造を伴うところは難易度が高いため、プロに任せたほうが賢明です。
また、システムキッチンやシステムバスなども自分で購入すると安くなると思いがちですが、
現金での仕入れや商品選択・設置工事のリスクもかりありますので失敗すると大損してしまいます。
基本的には「仕上げの部分」、壁紙を貼ったり、塗装をしたり、
左官をしたりという部分はDIYで楽しんでも大丈夫だと思いますので頑張ってみましょう。
③できるだけ見積もりに材料代を入れてもらってローンに組み込む
プロに頼む部分をしっかり把握したら、DIY費用の部分も人件費だけ抜いてもらって
リノベーション代金の見積もりに入れてもらいましょう。
仕上げの一部分のみ自分たちで楽しんで、後の細かいDIYは工事完了後に
現金でちょっとずつ楽しみましょう。住宅ローンにリノベーション費用を組み込む場合は
工事完了の写真や引き渡し確認が必要な場合が多いので、のんびりゆっくり
DIYで住みながら仕上げることはできません。
建築業者によっては「引き渡し後に勝手にやってください」と
DIYを対応してくれない会社もあるかもしれません。
不動産購入時にDIY対応できるかどうかの細かい話までできるかどうかは業者によりますので、
希望がある場合は物件案内の前に相談しておくことをおすすめします。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにリモートワークが普及し、
在宅時間が増えることで「仕事」と「住まい」に関する意識が大きく変わりました。
どこにいても仕事ができるということになれば、地価の高い都心にこだわることなく
地方移住のメリットを感じる人が増えるのは当然かもしれません。
また企業側や地方自治体もそれを応援するしくみをつくってきています。
①地方移住者を優遇する住宅ローンが登場
住宅金融支援機構の「フラット35」では、地方移住支援型の口ーン商品が出ています。
地方移住支援金の交付を受けた地方自治体でのマイホーム取得を希望する人に対して、
条件をクリアすれば当初10年間、「フラット35」の通常金利より0.3%低い金利を適用してくれます。
また各地方銀行も自治体と連携し、それぞれ地方移住者向けの住宅ローン商品を出していて、
特別金利での優遇や、勤続年数が問われないなどの特典が付いています。
要件は金融機関によってバラツキはあるものの、県外や市外から移住してきた人を
対象にしていることは共通で、単純に転勤などで地方に引っ越す場合でも使える場合もあります。
②使いやすいように審査基準が甘い
移住者向けの住宅ローンは、一般のものと比べると全体的に審査基準が甘い場合が多いです。
特徴的なのは、「勤続年数を問わない」という点です。また「年収が100万円以上」という銀行もあり、
都会での審査に比べると緩くなる傾向です。
都会で勤続年数や年収などで審査に通らかった人などには面白い選択肢のひとつになるかもしれません。
地価の高いところにこだわらず、ゆったりと地方活性化の役に立つような生き方は、
ますます人気が出てくるかもしれません。
図58 地方移住に役立つサイト
JOIN 一般社団法人移住·交流推進機構
自治体の支援情報や
住宅情報が充実
https:/www.iju-join.jp/
しています。
地方創生プラットフォーム Ntiv.media
メディアとしての
https://nativ.media/4174/
情報量がたくさん!
はじめての移住応援サイト いいかも地方暮らし
初めての移住を
https://www.chisou.go.jp/iikamo/index.htm
優しく応援してくれます
自分の信用情報を調べてみましょう。
過去にクレジットカードや各種ローンで延滞したことがあると、
住宅ローン審査でマイナス評価になったり、審査落ちすることがあります。
延滞歴は信用情報登録機関に記録が残るため、金融機関が調べればすぐにわかります。
ですが延滞の事故情報も時間が経てば消滅して、住宅ローンが組めるようになります。
もちろんその後、延滞や自己破産をしていなければの話です。
延滞履歴が消えるまでは、細かな事情によって異なるものの、およそ5年〜10年で消えるのが一般的です。
例えば、クレジットカードや携帯電話の分割代金、銀行ローンに関する問題は5年程度が目安となります。
また、自己破産などの債務整理は10年程度が目安とされています。
心配な人は、まずは自分で信用情報を調べてみましょう。不動産営業マンに代行してもらうことも可能です。
個人信用情報は主に、下記3つの信用情報機関で管理されています。
・JICC 株式会社日本信用情報機構:消費者金融と信販会社が主な会員
・CIC 株式会社シー・アイ・シー:クレジットカード会社と信販会社が主な会員
・KSC 全国銀行個人信用情報センター:銀行が主な会員
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
それぞれ加盟会社が異なり、クレジットカード会社や消費者金融からの借り入れについては
JCCかCICで、銀行からの借り入れはKSCで開示請求をすることとなります。
費用は1000円程度なので3社全部開示請求してもいいかもしれません。
もちろん延滞の事故履歴がないに越したことはありませんが、
「うっかり」という場合も「しょうがなく清算」(自己破産)もあるかもしれません。
あきらめずに信用を継続し、ローンに挑戦していただければと思います。
「退職金で一括返済したほうがいい」とか「退職金で一括返済しないといけない」
と考えてローンを組む方がたくさんいます。
金融機関によりますが、最終返還時の年齢は75歳〜80歳というところが多いのです。
「あれっ? 60歳や65歳で定年したら収入がなくなるから、それまでに返さなくてはならないのでは」
こう考える方が多くいます。25歳でローンを組むなら35年返済でも60歳で終わります。
しかし、例えば40歳でローンを組んで60歳完済にするならローン期間は20年になります。
もちろん短くなれば利息額は少なくなるので総返済額は抑えられますが、
毎月の返済額はぐっと上がります。子育てなどの一番お金のかかる時期に、
老後のために高額の返済をするのも得策とは思えません。
40歳から35年返済すると75歳になります。この時65歳定年だとして残りを
一括返済するかどうかを、するメリットとしないメリットで考えてみましょう。
一括返済するメリットは「毎月の返済による出費を抑えられること」ですね。
ですから、お金がたくさん貯まっているとか退職金が大量に支払われ、一括返済しても
手元に現金がたくさん残る方は返済すべきですが、私は退職金が出ても無理に
一括返済しなくてもいいと考えています。
その主な理由は2つです。
「団体信用生命保険に加入したままのほうが、もしもの時に支払いしなくてよくなる」
「金利が安い条件であれば現金は手元に置いておいたほうが生活に余裕が出る」
せっかく入っている団信ですから、年齢を重ねて病気や死亡のリスクが大きくなった時に
解約するのももったいない気がしませんか? またローンの残額にもよりますが、
金利が安い状態なら少しずつ返済しながら手元に現金を置いておくのは
不測の事態に備えることにもなります。
ですから「必ず退職時に一括返済しなくては」と思い込まずに、冷静に考えてみることをおすすめします。
また、間を取って「一部繰り上げ返済」も可能ですので、毎月の返済は減らして
少し現金を残しておくというのも有効な考え方だと思います。
5章 : 中古住宅+リノベーション こだわり購入術
「リノベーション」と「リフォーム」の違いは大きく次の通りです。
「リノベーション」とは既存の建物を修繕するだけでなく、デザイン性を加えたり、
機能性を持たせたりして新たな機能や価値を付け加える改装工事のことを指す場合が多いです。
物件内部をスケルトンにして間取りや配管部分なども新しくしたり、
断熱性や耐震性なども高めたりする比較的大規模な工事になるケースがほとんどです。
当然金額も「リフォーム」より大きくなることが一般的です。
「リフォーム」にも似たようなところはもちろんありますので
「大規模なリフォーム」と「リノベーション」の違いは難しいところですが、
「リフォーム」はどちらかというと「壊れた部分を修復する」「設備機器を入れ替える」
「内装部分を張り替える」など、修復や修繕の意味合いが強いです。
単純な機器の交換や修理、表層の仕上げ材などの貼り替えや交換、
不具合の解消などの工事は「リフォーム」と呼ぶことが多いですね。
「リノベーション」のほうが規模感が大きく、デザイン性も高そうなイメージから
「おしゃれ感」も伴って、最近ではこの言葉を使うことが多くなってきました。
図61リノベーションひと言アドバイス
キッチン:壁付けから対面に変更したい場合は、給排水との兼ね合いでできるか確認が必要。
浴室:大きさを変更する場合は注意が必要。事前に相談を。
洗面:床が湿気で傷んでないかなどの確認を。
トイレ:衛生的にも取り換え必須。節水効果にも。
給湯器:見落としがちな設備。年数の確認を。10年を超えていれば交換も視野に。
玄関:古ければ思い切って交換がおすすめ。今は便利なキーシステムも。
外壁:雨漏りに影響する大事な箇所。クラックがあったり、15年を超えていれば塗り替え検討。
後から直すと費用が余計かかるのでできれば購入時にローンに含むことをおすすめ。
屋根:雨漏りに影響する大事な箇所。古ければ交換や外壁と一緒に塗装を検討。同じく後からすると費用大。
窓・サッシ:断熱性能に一番影響する。内窓の追加や2重ガラスに補助金を使って性能アップをおすすめ。
内装・クロス:費用も安く楽しめるところ。アクセントなど入れて楽しんで。
照明:内装張替時はダウンライトにするチャンス。間接照明を入れるとおしゃれ度UP!
床材:壁と違って、後から張り替えは困難なので、購入時の空き家の間に工事するのがベスト。
床暖房もおすすめ。
間取り変更:LDKを大きくするなど、柱や構造が絡むところは専門家に要相談。2×4や軽量鉄骨などは要注意!
分電盤、電気:電気の容量の確認や分電盤の回路の数など要確認。増やす場合はリノベーション時に。
バルコニー:見落としがちなので防水状態要確認。苔やクラックがあれば要注意。
建具:内装張替時は引き戸にしたり、取り換えのチャンス。全部替えると高額になるので予算を見ながら検討。
耐震:昭和56年以前の建物は補強必須。ほかの工事と一緒にすると費用を抑えられるのでおすすめ。
購入した後、想定外の費用として苦しむのが、エアコン、カーテン、家具・照明の費用です。
全部屋分を購入すると、選ぶものにもよりますが100万〜300万円くらいすぐにかかってしまいます。
諸費用や頭金などで現金を使ってしまった後には、これが結構重くのしかかってしまいます。
いくらかっこいいリノベーションしても、カーテンや照明、家具などがミスマッチだと
全体のおしゃれ感が台なしです。そこで、リノベーションのデザインをしてもらった
会社やデザイナーさんに、工事と一緒に提案してもらうのがおすすめです。
そして、それらを住宅ローンにリノベーション費用として組み込めば
現金を取っておけるのでとても楽になります。
また、グレードの高いものを選びやすくなります。
一方で、必ずローンに含められるかというと、そうとは限りません。コツが必要になります。
リノベーションをする会社ではなく、違うお店でエアコンを買ったり、照明を買ったりした場合は、
ほぼローンには含められません。
あくまでリノベーション工事の一環であることが大事です。
照明は、天井に埋め込み型のダウンライトがおしゃれですっきりさせることが今の主流です。
カーテンやブラインドなどはクロスの色と合わせないとおかしくなるので一緒に選んだほうがいいですし、
家具も同様に色やサイズがびったりのものを造作でつくったほうが
しっくりきてスペースに無駄がありません。
もちろんセールで売っているような照明や家具などと比べれば高くなりますが、長期的に
見れば満足度は高くなりますし、仕上がりもきれいになります。
リノベーションしてもらう会社の見積もりに含んでもらい、支払いを一本化することが
ローンの高等テクニックなコツです。
リノベーションの予算を立てるのは本当に難しいです。
本来は現場を見て、お客様の希望を聞いて、プランをデザインして、概算見積をつくり、
打ち合わせを何度もして、ショールームに行ったり、サンプルを取ったりして、
何度も見積もりをつくり直して最終的な金額が確定します。
500万円を超える工事ならば、現場調査から契約に至るまで
1ヶ月や2ヶ月かかるのが建築の世界では普通です。
しかし、「中古住宅+リノベーション」で物件購入から進める場合、
早く購入を決めたい不動産担当者は、その見積書を今日、明日にでもほしいのです。
スピード感がまるで違います。
ここが重要で、普通の不動産会社にはできない点です。
ワンストップで実績のある会社は豊富な実例から概算の見積もりを早く出すことができます。
もちろん概算ですが、この概算の精度が悪いと物件を買ってからトラブルになるので、
その精度が高いことが大切です。
人気物件ほど早く「買う」決断が必要です。
しかし、リノベーションの費用がわからないまま買ってはいけません。
だから早い概算見積が必要です。
細かい打ち合わせは契約後、引き渡しまでの1ヶ月や2ヶ月の間にするのです。
戸建とマンションで金額は異なります。
マンションは屋根・外壁、玄関や外構などがいりませんので、比較的拾いやすくなっています。
間取り変更やデザインに凝ったりした場合は費用が変わるので、
購入時の概算見積は多めにしておくことがおすすめです。
また、諸経費の8%〜10%と消費税10%も忘れずに予算に入れておいてください。
多すぎた場合は決済前の金消契約時に減額することができますので安心ください。
「住宅購入時には2割程度の頭金を用意してから買いましょう!」
というのが優等生的な答えであり、
頭金などの現金はたくさんあるに越したことはないのは間違いありません。
ですが、実際に家を購入するメインの世代、20代後半から30代の方が
数百万もの現金を家のために使えるでしょうか?
そんなに簡単に数百万や数千万も貯金できるはずもなく、子育て世代の方も多いので、
手持ちの現金を置いておきたいというのが心情でしょう。
ご両親が援助してくれる場合は、ありがたくいただくのがいいと思いますが。
では、頭金がない場合、購入をあきらめなければならないのでしょうか?
私の答えは「NO!」です。現金はできる限り手元に残しておいてほしいとさえ考えています。
住宅を購入する際には、住宅費用のほかにも様々な諸費用がかかります。
諸費用の支払いには現金が必要なので、頭金まで準備ができないという人もいると思います。
そういう場合、住宅代金をすべて住宅ローンで賄うことも可能です。
今は「頭金なし」で貸してくれる銀行が大半になりました。
住宅金融支援機構でさえも、2014年から頭金なしでも借りられるように条件を変更したほか、
銀行同士の競争が激化したことなどにより、今では「頭金なし」が珍しくないのです。
頭金ゼロということは、住宅価格の100%を住宅ローンでまかなうということです。
実際のところ、ほとんどの住宅ローンでは価格の100%まで借りることができます。
ただし、正確には担保評価額の100%、つまり銀行が認めた住宅価値の100%ということなので、
中古住宅などでは価格の全額まで借りられないケースもあります。
逆に住宅価格+リノベーション費用を含めた100%以上借りられるケースも多々あります。
金利の高い昭和の時代は「頭金を2割貯めてから買いなさい!」というセオリーが主流でしたが、
金利の安い時期であれば、高い家賃を払いながら貯金をするより、
頭金なしで購入してしまったほうがお得なこともあります。
頭金を貯めている間、家賃は発生します。
その期間分、早く住宅ローン返済にあてたほうが総額ではお得になる場合が多いのです。
住宅購入の際、基本的には諸費用の支払いには現金が必要となります。
また契約時には手付金(通常、物件金額の5%〜20%、物件代金に充当される)が現金で必要です。
前項の頭金をローンで借りる場合も、契約時には手付金を現金で用意する必要があります。
そうすると諸費用が現金で出せなくなったり、手元の貯金がまったくなくなってしまって
不安ということも多々起こります。
そういう必要な自己資金を現金で用意できない場合は、諸費用口ーンや
住宅ローンに組み込めるサービスの利用を相談してみましょう。
実際、住宅ローンに諸費用込みで貸してくれる銀行が増えています。
諸費用とは、登録免許税、司法書士への報酬、ローンの事務手数料、
保証料、火災保険料、仲介手数料、固定資産税の分担金などで、
一般的に販売価格の約8%〜10%程度が必要と言われています。
3000万円の物件を購入した場合には、240万〜300万円の現金が必要となります。
諸費用をローンで調達できた場合、手持ち現金に少し余裕がでるかもしれません。
ただし、金融機関によって諸費用に対する融資のパターンは下記のように
大きく3つあることを知っておきましょう。
①諸費用も住宅ローンと同じ金利で組み込める銀行
②住宅ローンとは別に、割高な金利で諸費用ローンを用意している銀行
③諸費用も住宅ローンに組み込めるが、保証料や金利が高くなる銀行
どの銀行も、諸費用ローンを組むと、総合的な判断で厳しく見られる傾向はあります。
余裕があるのであれば現金で出したほうがいいのは事実です。
勤務先、返済比率、勤続年数等の属性に問題がない場合や
悪い条件にならない場合は比較検討の上で選択しましょう。
ローンにできるとはいえ、手持ち資金に余裕があれば諸費用分は現金がおすすめです。
金融機関の審査をした上で、諸費用をローンに含んでも条件的に不利にならない場合は
ローンに組み込んで現金を手元に置いておきましょう。
新築では売れ残り物件しか価格の値引きというのはあまり行なわれませんが、
中古物件は物件の売主と買主の間では「価格交渉」 が行なわれるのが一般的で魅力でもあります。
不動産取引は金額が大きいので、もっとも多い値引き方法の「端数切り」でも大きな金額になります。
例えば、2470万円で売り出されていたとすると、70万円を値引きして2400万円にする。
2130万円の販売価格に対して130万円を値引きして2000万円にする。
こういったキリのいい数字に設定した値引きは通るケースが多々あります。
これは売却価格を過去の取引事例から査定して、少し値引き交渉が入ることを計算に入れて
販売価格を決めていることが多いという事情があるからです。
売主側としても値引き分の利益損失は発生するものの、物件がいつまでも売れない可能性を考えると、
「今ここで売ってしまったぽうがよいのでは・・」という考えで値引きに至るのでしょう。
値引き相場はまちまちで、売主の事情や物件の人気度合いによって変わります。
端数を値引くケースや約10%程度値引きに応じてくれるケースもあります。
ただ、すべての売主が値引きに応じてくれるわけではありませんので、
「中古の家なんだから値引きは当然だよね」といった態度にならないように注意しましょう。
では、値引き交渉が成立しやすい物件の特徴をお伝えしましょう。
①周辺の相場から見て値段が高い
売主の思い入れが強かったり、売主が多くの現金を必要としていたりする場合には、
周辺の相場よりも高い価格で売り出されていることがあります。
相場との比較で交渉しましょう。
②販売開始から時間が経過している
対象物件がいつから販売開始になっているか確認しましょう。
時間が経過している中古住宅の場合、早く売却したいと考えている売主であれば、
価格交渉に応じてくれるケースがあります。
実際、販売開始から時間が経つごとに販売価格も下げていかなければならないのが現実です。
タイミングがうまく合えば成功します。
③物件金額に端数がついている物件
販売価格は売主と仲介業者で決めることがほとんどで、売主は1円でも高く売りたい希望もあり、
売れなかった時の下げ幅や値引き要請があった時に対応できるように、
実際の査定より高めの金額で販売価格を決めていきます。
それもあって端数値引きは成功しやすいのです。
超人気物件やすでに販売価格を下げて出ている場合など、値引きNGの物件もありますが、
希望物件を他人に取られないように気をつけながら値引き交渉にチャレンジしてみましょう。
中古住宅の値引きが大きな価格になることやどんな物件が交渉しやすいかは
前項でご理解いただけたと思います。
では、実際どうすれば交渉をうまく進められるでしょうか?
そのコツをいくつかお教えしたいと思います。
①パートナーの不動産営業マンにその物件の情報を詳しく探ってもらう
「販売時期はいつからなのか?」「相場より高いか?安いか?」
「どれぐらい物件を見に来ている人がいるのか、人気度合い」
「売主の販売動機、ローン残債などの事情」などなど。
まずは情報が命です。その事情によって戦略が変わりますので重要です。
②値引き交渉するタイミングは「住宅ローンの事前審査(仮審査)」に通った後がおすすめ
売主は、本当は値引きしたくありません。それでも決断するのは
「今、値引きに応じれば、この人は確実に物件を購入してくれる」
と確信したタイミングのみです。
買主がまだ住宅ローンの審査前や審査中など、「物件購入ができるかどうか不明」
な場合には、本気度合いが売主に伝わらないでしょう。
値引きを希望する際には、住宅ローンの事前審査に通っていて、
十分な資金を用意できる見込みが立ってから交渉をはじめるのがおすすめです。
③買主側にも誠実な姿勢が求められるので、売主の立場も考えながら交渉を進める
売主さんも間に入る仲介業者も人間です。感情が入り込みますので、
「値引きして当たり前」という意識ではなく、売主の立場に立っても考えて、
現実的な相場や理由などを示した上で
「この金額であれば気に入っているこの物件をぜひ購入したい!」
という意思を売主側に伝えることが大切です。
買主側が提示した金額がそのまま通るというわけではありませんが、
売主と買主の双方が歩み寄れる価格を探すことで、取引が成立しやすくなります。
「中古住宅+リノベーション」の購入は、空き家対策やストック利用など、
国のすすめる政策のひとつでもあります。
そのため、年度や時期によって名前や内容は変わりますが、
使える補助金が出ていますので、必ず調べて活用しましょう。
以下、現在(2022年2月)使える補助金の例です。
こどもみらい住宅支援事業
「中古住宅+リノベーション」に限って言えば、子育て世帯や若者夫婦世帯なら最高60万円、
それ以外の世帯なら最高45万円のキャッシュバックを受けることができます。
リフォームだけする場合でも補助金が出ます。
細かい内容は国交省のホームページなどでご確認いただくとして、
結構大き金額が返ってくるのでうれしい制度ですね。
少し前なら「エコポイント制度」や「グリーン住宅ポイント」として、
現金ではなくポイントで還元するような形がありましたが、
これから未来に向けてもこのような補助金制度は出てくると思いますので、必ず調べて活用しましょう。
図68 大阪府八尾市の場合
木造住宅耐震改修設計補助制度
https://www.city.yao.osaka.jp/0000014368.htm
診断補助:木造住宅の場合は、耐震診断に要した費用。
一戸につき50,000円を上限とする。
設計補助:要した費用の70%とし、一戸につき 100,000円を上限とする。
工事補助:1戸につき700000(世帯所得額により、1,000,000円まで)、
または耐震改修工事に要する費用のいずれか低い額とする
中古住宅流通促進補助制度
https://www.city.yao.osaka.jp/0000053223.html
空き家対策の「活用・流通」の取組みのひとつとして、市内に転入する若
者や新婚・子育て世帯を対象に、市内にある中古住宅の取得に要した費用
及びリフォームに要する費用の一部を補助する制度。補助額20万円。
同居支援補助制度
https://www.city.yao.osaka.jp/0000053227.html
空き家対策の「活用・流通」の取組みのひとつとして、若者や新婚・子育
て世帯が親世帯と市内で同居するために行うリフォームに要する費用の
一部を補助する制度。補助額20万円。
※2022年6月現在。各制度には条件があるので要確認。
あなたのお住まいの地域でも使える
制度や補助金があるかもしれないの
で探してみましょう。
6章 : 買った後も安心-知っておくべきお金のコツ
実際問題、今家を買って住んでいる人で自分の家の火災保険の内容を
詳しく知っている人は結構少ないと思います。
「自分の家の火災保険なのに知らないの?」と思われるかもしれません。
おそらく、不動産会社が諸経費の中に組み込んでいて、
提案されたものをそのまま契約している方が多いのが現状でしょう。
特に数十年前に家を買った人はほとんどそうだと思います。
なぜわかるかというと、私の会社はリフォームも扱っているのですが、
台風の被害で屋根などに支障が出た時、施主様に火災保険の内容を尋ねます。
その時、ほとんどの方が知らないことが多いのです。
しかも昔は35年一括で火災保険に加入できた(現在は10年が最長期間が多い)ので、
いったん入ると天災や火事が起こらない限り見直すこともないのです。
いざ台風が来て、家の修理が必要になった時、「使えない保険に入っていた」
ということがないように、やはりおすすめされた保険でも内容を確認してほしいと思います。
右表の内容をチェックして、提案された保険内容を確認しましょう。
図69 火災保険の基礎
ポイントアドバイス
自由に選べます。最長10年(※)。1年単位でか
けられます。長いほうが割安ですが、短くすれば
初期の諸費用は安く上がります。
火災保険では地震に対応できません。地震に対応
地震と火災は別物?
するには別途地震保険に入る必要があります。
専有部分の火災や漏水・盗難などに備えて入って
マンションでも必要?
おくことをおすすめします。
最近、台風による風災が多いので加入必須。予算
戸建の加入ポイントは?
が許せば汚損・破損も利用価値大です。
あまり高額にせず、実際の所有物の金額に合わせ
家財の金額は?
て決めましょう。
※前は35年一括で掛けられていましたが、年々短くなっていき、2022年後半
以降には最長5年に変更される予定です。
保険期間は?
今は火災保険の種類も増えて、自分の考え方に合わせて選択できるようになっています。
例えば、「日常でも役に立つ保険」を主旨にすると、「汚損、破損」を付けて
天災・人災にも対応できるようにするとか、家財にも保険を付けて
「パソコンに飲み物を自分でこぼしてしまっても保険が出る」というものも選べます。
この「汚損・破損」という項目は保険で支払われるケースの全体の約5割〜6割と言われます。
実際に火事を起こす確率は少ないので、ほとんど火災保険は使われずに終わるのが通常ですが、
これだけ支払われているということはよく使われる項目を保険対象にしているからだとも言えます。
火事以外のトラブルや事故などで使える保険に入っておくのは安心でもあります。
保険料と見比べてメリットがありそうだと感じたら加入してもいいと思います。
一方で、「火災保険は最低限で安いほうがいい」という主旨であれば、
最低限の保険を組み立てることもできます。
加入年数も短くすれば住宅購入時の負担も少なくすることができます。
しかし私の経験上、近年は風災など台風による被害がたくさん発生していますので、
そこに備えた保険には入っておいたほうが得策と感じています。
図70 火災保険の例
1火災、落雷、破裂.爆発
失火やもらい火などによる火災と消防活動による水ぬれも含まれる。
落雷による電化製品の故障、ガス爆発にも。
2風災、雹災、雪災
台風、旋風、竜巻、暴風などで窓ガラスが割れるなど。雪崩や豪雪などの被害にも。
3
水ぬれ
給排水設備の破損や詰まりで発生した漏水、放水などの被害。
建物と家財にかけられている場合が多い。
4盜難
強盗、窃盗または未遂時でも損傷や汚損が起きた場合。
5
水災
大風や豪雨による洪水、融雪洪水、土砂崩れ、落石など。
6
破損、汚損など
自動車が飛び込んでくる、パソコンに飲み物をこぼしてしまった、
テレビを落としてモニターを壊してしまったなどの不測の事故。
地震保険
地震や噴火などの被害に
保険各社のオプション
カギあけ、水まわり救急など
「地震保険に入ったほうがいいか?」と聞かれれば、
「予算が許すなら入ったほうがいいです」と答えています。
では、「著者の私自身の所有物件には全物件、地震保険に入っているか?」
という質問の答えはこうです。
「入っている物件と入っていない物件があります」。
つまり、ケースバイケースによって判断しています。
入ったほうがいい理由は簡単ですよね、地震被害に遭った時の安心になるからです。
では、入らない理由の主な点は次の通りです。
①費用が高いから
火災保険に対して地震保険の費用は高く感じます。
また、5年ごとの更新が必要なのでより費用がかかります。
②保険で支払われる金額が火災保険の金額の1/2が上限め、
全壊でも少なく感じてしまいます。
また、全壊までいくケースは新耐震基準の家では少なく、
多く起こりそうな半壊やー部損壊の場合はさらに支払われる金額は少なくなるからです。
考え方として、地震保険の場合は「地震で家が壊れたから保険金で建て直す」
ためのものではなく、地震の被害によって当面必要な「住み替えや家財・
日用品などの経費にあてる」というものだと認識していただければわかりやすいと思います。
もちろん予算に余裕があれば入っておいたほうが安心ではありますので、
しっかり考え選択することをおすすめします。
地震で全損しても保険金は火災保険の1/2が上限。
一部損壊なら5%しか出ないことも。掛け金が高い割に出る額が少ないと感じるかも。
築年数が浅い建物なら、全壊はほとんどないと予想されます。
住宅ローン減税とは簡単に言うと
「住宅ローンの年末の残高に合わせて返ってくる税金(控除)」のことです。
ですから現金で購入した人には恩恵はありません。
最大控除額が大きいので、現金で買えてもわざわざ住宅ローンを組んで
「住宅ローン減税」を利用する人もいるほどの制度です。
住宅ローンの返済に伴う家計への負担を減らし、国内経済を活性化させるために設けられた制度です。
これまでの住宅ローン控除では、条件を満たせば年末時点の住宅ローン残高の
1%相当分を税金から控除してもらえることになっていました。
適用期間は10年とされており、年末のローン残高の上限は
一般住宅で4000万円と定められていたので、最大で毎年40万円、
10年間の総額で400万円の控除を受けることができました。
2022年からは、控除率が1%から0.7%になるなど、制度内容が少し変更されています。
中古住宅に関する変更ポイントは右図にまとめましたので参考にしてください。
中古住宅に関しては、控除率が0.7%で控除期間も10年間なので、
2021年以前よりは最大控除額は減額となってしまいましたが、「築年数要件」に関しては
これまで耐火(マンション)は築25年以内、非耐火(木造戸建て等)は築20年以内
という制限がありましたが、「昭和57年以降に建築された住宅」に変わったので、
適用範囲は広がったというメリットもあります。
賢く住宅を買う上で必須の制度ですので、不動産担当者に相談の上、
中古住宅購入時に利用できるか確認してみましょう。
不動産購入して、「いろいろたくさんお金を使って、やっと落ち着いた頃」
に税金の納付書が届きます。「またお金がいるの!?」と思ってしまうのが不動産取得税です。
不動産取得税とは、不動産の所有者となったすべての人に課される税金で、
取得した建物と土地それぞれに課税されます。
不動産取得時に一度だけ支払う税金なので、予定していれば驚くことはありません。
しかも築年数の浅い物件は軽減措置が大きく、1円もかからないというケースも出てきます。
ここでは、複雑な計算式は抜きにして、不動産取得税を減らすこができる
軽減措置があることを知っておいていただきたいます。
新築も中古もどちらも軽減措置がありますが、中古住宅のほうが築年数によって要件が細かいので、
これを知り物件選択の際のにしたり、支払う際には必ず軽減措置を活用していただと思います。
中古マンションや中古の戸建て住宅の場合の軽減措置の条件としては、
1981年の新耐震基準が適用された後の昭和57年以降に建築された物件かどうかが重要になります。
①課税床面積が50m以上240m以下(戸建て以外は1戸当たりが40m以上)
②個人の居住を目的とした住宅全般に適用される(セカンドハウスを含む)
③昭和57年1月 1日以降に建築されている
土地と建物に分けて不動産取得税は計算されますが、購入時に知っておくといいものに特化すると、
下図の建物の築年数による軽減措置の金額です。
とはいえ住宅購入時はあくまで「気にいった物件」であることのほうが大事なので、
参考程度で大丈夫です。
頭金や諸費用など、なにかと現金があったほうがいいのが住宅購入ですが、
そんな時に助けてくれる親がいるのはありがたい存在です。
しかし、何も知らないと親子間でも贈与税がたくさん取られてしまいます。
せっかくの機会ですから、概要を理解しておき、軽減措置を活用して申告しましょう。
贈与税の非課税特例は、2022年度の税制改正で、主に「適用期限」
「非課税限度額」「中古住宅の要件」「受贈者の年齢」の4つについて、
次の通り変更が行なわれたので要注意です。
①適用期限の延長
贈与税の非課税特例の適用期限は2年間延長され
2023年12月31日までとされました。
②非課税限度額の縮小
これは悲しいお知らせですが、非課税枠は改正前の最大1500万円から
最大1000万円に縮小、住宅の区分に応じて次の金額が非課税限度額とされました。
なお、今回の改正により、契約締結の時期は問われなくなりました。
・耐震・省エネまたはバリアフリー住宅→非課税限度額1000万円
・その他の住宅→非課税限度額500万円
③中古住宅の要件を廃止
こちらはうれしいお知らせです。
改正前は贈与された資金で中古住宅を購入する場合、
住宅の築年数について制限がありましたが、
今回の改正で要件が廃止されましたので使いやすくなりました。
・改正前→取得の日以前20年以内(耐火建物は25年以内)に建築されていること
・改正後→要件廃止
④受贈者の年齢の引き下げ
最後に改正前、受贈者の年齢は、贈与を受けた年の1月1日現在で
「20歳以上」とされていましたが、成人年齢の引き下げに伴い、
今回の改正で「18歳以上」に引き下げられました
(18歳で家を購入する人は少なそうですが)。
さらに、この特例は基礎控除と併用できるため、「暦年課税制度」「相続時精算課税制度」
などを利用して、実際の非課税枠を広げることもできます。
この制度については金融機関や不動産会社の担当者よりも税理士のほうが詳しいので、
細かく相談したい場合は税理士に聞いてみましょう。
例えば、住み出してから数年後、「トイレが壊れた」「雨漏りがする」
「お湯が出ない」などなど、住まいのトラブルに遭った時、購入した不動産会社へ電話すると、
「うちは売買の仲介をしただけなので知りませんよ」と丁寧にお断りされます。
「冷たい・・・」と思われるかもしれませんが、落ち着いて下記に連絡しましょう。
①ワンストップ購入(住宅購入もリノベーションも同じ会社)の場合は
その会社(この場合は「知りません」とは言わず、対応してくれますのでおすすめです)。
②購入時にリノベーションした場合はその会社。もちろんアフターも面倒を見てくれます。
③購入時にリノベーション、リフォームなどをしていない場合は、自分でリフォーム会社を探す。
もちろんその都度、住まいのトラブルやリフォーム会社に問い合わせて、
得意そう会社を探すことはできます。
しかし、やはり購入時から同じ会社や同じ担当者とつながっておけば、安心ですし便利です。
ちょっとしたことならサービスで直してくれたり、点検やメンテナンスも建物のことを
よく知っているからこそ無駄な費用を払わなくていい場合が多くなります。
できれば家の近くで親切な会社や担当者と長く一緒に住まいを守っていけたら幸せですよね。
同じ気持ちでいる親切な会社は必ずありますので、
かかりつけ医を見つけるつもりでつながっていてくださいね。
図75 ご注意!よくあるトラブル
雨漏り
台風などが来て初めて発覚することが多い。
水栓まわりなど。古いものはパッキンの
水漏れ
劣化なども。
トイレやキッチンなど。
路地の
排水桝が詰まることも。
お湯が出ないなど。10年以上経ったら交換
も視野に。
紛失時などに対して早めに予備をつくって
おくこと。最近は防犯上合鍵がつくれない
ものもあるので注意。
シロアリ・害虫
シロアリや害虫を見つけたら早めに対処を。
排水つまり
給湯器
玄関鍵
中古住宅を買って、住みはじめてからのメンテナンスのポイントは
リノベーションの範囲と関係してきます。
内装やキッチン、お風呂などの設備のメンテナンス時期は目に見えるので
自分で判断しやすいと思います。
給湯器は10年〜15年で交換の必要性があると考えておきましょう。
なんといっても家にとって一番大事のは「構造部分を傷めない」メンテナンスです。
場所で言うと、「屋根」「外壁」などから水を入れないことと、
「床下」に水漏れやシロアリなどを出さないことです。
中古住宅を買ってリノベーションする場合、できる限り屋根も塗装したり、
外壁のシール(タイルの間のシーリング材)を打ち替えたりすることをおすすめしています。
しかし、「まだ見た目がきれいだし、今はいいか⋯⋯」と先延ばしにされる方が多いのが現状です。
気持ちはとてもわかります。なぜなら予算が増えるからです。
屋根や外壁塗装をすると、150万円から200万円くらいかかったりします。
だからこそ住宅ローンに組み込んで工事しておくことをおすすめしています。
住みはじめてやっと落ち着いた頃に200万円近くの現金を捻出することはなかか大変です。
ローンを少なくしたい、子どもの教育費もかかる⋯⋯と、後まわしにしたいのもわかります。
しかし、屋根や外壁は、見た目をきれいにすることも重要ですが、
なにより重要なのは住宅に「水」を浸入させないようにする機能です。
壁が水を弾かなくなっていると雨が降るたびに吸い込んでいきます。
ひび割れにもつながっていって、少しずつ水が浸入して構造材を傷めます。
言い換えると、「水」さえ入れなければ住宅はとても長持ちします。
繰り返しますが、メンテナンスのポイントは「屋根」「外壁」「水漏れ」「床下」です。
図76 メンテナンス時期
キッチン
5年〜10年で水栓交換
10年〜15年でコン口交換
15年〜25年で本体交換
洗面所
5年〜10年で水栓交換
15年〜25年で本体交換
お風呂
5年〜10年で水栓交換
15年〜25年で本体交換
トイレ
5年~10年故障時修理
15年〜25年で本体交換
給湯器
5年~8年故障時修理·点検
10年〜15年で本体交換
換気扇.
1年ごとに定期清掃
15年〜25年で本体交換
フード
壁紙
3年〜5年ジョイント等補修
汚れ度合いや気分で交換
15年〜20年で劣化度合
外壁
5年ごとに点検
いにより塗り替え
5年ごとに点検
15年〜20年で劣化度合
屋根
いにより塗り替え
シロアリ
5年ごとに防蟻処理
未来はだれにも予言できませんので、だれもが突然のアクシデントに遭遇したり、
様々な事情で働けなくなったりすることはあるかもしれません。
「収入がなくなったら怖いから、住宅ローンは組まずに賃貸にします」という人がいますが、
収入がなくなったら家賃が払えないので追い出されてしまうので、同じ状況です。
むしろ、購入して団体信用生命保険に入っているほうが、死亡や高度障害、
八大疾病などになった時にローンが免責されて家族に家が確保できるというのはすごく安心なことです。
では、実際に住宅ローンの支払いに行き詰まったらどうすればいいかについても考えておきましょう。
一番気をつけないといけないことは「延滞すること」です。
「延滞履歴」があると、金融機関によっては金利割引がストップして金利が跳ね上がったり、
不利な状況を招く危険性があります。
苦しくなったらまず「金融機関に相談すること」です。
金融機関も返済してもらえなくなるのは困りますし、
ほかの弁済方法は手間も費用もかかります。
そこで「現在の収入の状況」や「返済できなくなりそうな理由」を元に、
返済方法の見直しを提案してくれることが多くあります。
①返済期間延長による返済額の減額案
②一定期間の返済減額案や返済猶予
このようなケースが多いと思います。
収入の変化が一時的なものなのか? または長期間続くのか?
これによっても返済計画は変わると思いますが、いずれにしても延滞する前に相談することです。
人生のピンチは、いつ、だれに襲ってくるかわかりません。
慌てずしっかり計画を建てて乗り切っていきましょう!
図77 返済方法の見直し例
当初借入額3000万円 35年返済ボーナス払いし
月々84,685円済
①返済期間延長による返済額の減額例
返済残期間16年、残債1500万円の場合で返済期間を延長
10年延長して
35年返済
減額
19年払い済
残り16年を25年に延長
84,685円/月
56,530円/月
※長期にわたって収入が減るような場合
減額分
延長
一定期間のみ返済減額
84,685円/月々
※病気や諸事情により一定期間のみ
返済が苦しくなる期間がある場合
見直し
②一定期間の返済減額猶予の例
35年返済
20,000円
/月々
見直し
84,685円/月々
